2023/10/22 祝開通すいせんロード、知多広域農道折り返し岡田のかつ丼を食らう(知多満作道、味覚の道、ふるさとロード、すいせんロード、おかき屋 辰心)
伊勢湾と三河湾を分ける愛知県知多半島、冬場の凍結リスクも少なく年間を通してツーリングを楽しめるエリアである。 そして、名古屋からのアクセスが容易な知多半島、海沿いの国道247は大勢の行楽客の車で混雑することになる。 半島先端の海鮮目当てに知多半島道路で一気に折り返すことも可能だが、ライディングを楽しむとは言い難いところなのである。
そんな背景を持つバイク親父が、新年の走り初めや行楽シーズンの足慣らしにたどるのが、知多半島中央の丘陵地を南北に走る知多広域農道である。 以前紹介したこの知多広域農道は、知多市佐布里池を起点に、知多満作道(知多市)、味覚の道(常滑市)、ふるさとロード(美浜町)、すいせんロード(南知多町)と、市町毎に通称を変えながら知多半島先端まで続く広域農道である。 各農道の繋ぎ区間が分かりにくい箇所もあるが、事前にルート確認して二輪の機動力を活かせば、海岸沿いの街中を迂回しながらラインディングを満喫できるだろう。
そして今回、工事中だったすいせんロードの分断区間が繋がったことを知り、週末の空き時間を使ってランチツーリングに走り出すことにした。 2023年3月に新しく開通したこの道路は、知多郡美浜町古布から知多郡南知多町山海までの約1.8kmを結ぶ、一般県道奥田内福寺南知多線(おくだうつふくじみなみちたせん)である。 息継ぎも困難な長い道路名ではあるが(笑)、これまで知多半島道路古布IC方面へと迂回する必要があったすいせんロードを、一気に駆け抜けることが出来るようになったはずである。
繋ぎにくいがゆえに流れが良い側面はあるのだが、一気通貫にライディングを楽しめるに越したことは無い、さらに路側からの眺めが良かったりすればさらに良い(笑)。 何とも身勝手なバイク親父の目論見ではあるが、まずは走ってみてバイク乗りの皆様にレポートしてみたいと思う。 秋のツーリングシーズン真っ只中、山間の峠を走りだめしたい時期ではあるが、冬場の快適な足慣らしルートが開拓できれば御の字であろう。
開通した知多広域農道すいせんロード分断区間(愛知県hpから引用)
ルート概要
国道23(名四国道)豊明IC-県57→大府森岡-県252-(げんきの郷)-県252→高丘町二丁目-農免道路→阿久比旭台-県46→深田脇-知多満作道-(県259東渕馬交差点)-味覚の道(県269桧原交差点、過ぎて左折)→高砂山公園-味覚の道(県72南原交差点、過ぎて左折)-知知多道路美浜PA側道-県273→東平井-県274-(ジョイフルファーム鵜の池、過ぎて右折)-ふるさとロード-県276-樫木-すいせんロード(突き当り左折)→片名漁港-国247→小佐漁港-市道-知多広域農道に折り返し(すいせんロード、ふるさとロード、味覚の道、知多満作道)→深田脇-市道→岡田古い町並み(おかき屋 辰心)-市道→佐布里緑と花のふれあい公園
ツーリングレポート
国道23名四バイパスを東へ走り豊明インターを降りると、県道57を南下して知多半島の農海産物を販売するげんきの郷の脇を抜け、さらに大府から阿久比へと続く農免道路を南下する。 そして農免道路が突きあたる県道46を知多方面に舵をきると、佐布里池南側の深田脇交差点から知多広域農道知多満作道へと駆け上がった。
知多広域農道に走り出すと程なく、農道脇の愛知用水水路や給水塔が目に留まり、知多半島を旅していることを再認識する。 知多広域農道は、知多市の佐布里池から美浜町の美浜調整池まで続く愛知用水に沿って南下しており、その景色は知多半島ツーリング特有の田園風景になのである。
ちなみに愛知用水とは、昭和22年(1947)に知多半島で発生した大干ばつをきっかけに国家事業の気運が高まり、昭和36年(1961)に完成した灌漑施設である。 長野県木曽郡の牧尾ダム、味噌川ダム、岐阜県恵那市の阿木川ダムを水源に、岐阜県八百津町の木曽川から取水された愛知用水は、知多半島南端の愛知県南知多町まで112kmを繋ぎ、知多半島の農業・工業・水道用水を供給している。
愛知県に暮らしていると何気ない景色ではあるが、愛知用水の水路、水道橋、暗渠(あんきょ)、そして給水塔などの用水施設に、現在の農工業や暮らしを支える灌漑事業の歴史を垣間見ることができるのである。
そしてバイク親父の頭には、自分たちの暮らしを支える水がどこから流れてくるのか、その源をたどってみたいなどと酔狂な旅のイメージが膨らんでくる。 こうやって、気力体力が続くうちに訪れたい旅のイメージが、還暦親父の頭の調整池に溜まって行くのである(笑)。
知多広域農道沿いの愛知用水配水塔は、知多半島灌漑工事の歴史
その後も知多満作道から味覚の道へと、緩やかに弧を描く秋晴れの知多広域農道を快走する。 愛知用水で潤った農道沿いの稲田は、既に収穫されて来春の田植えを待つ姿になっていた。 最近は日本中で秋の最高気温が更新されており、東北のブランド米の品質低下など農産物への影響が報道されることも多い。 そのうち南国化した知多半島でも、二期作の田園風景が見られるようになるかもしれぬ。
緩やかに弧を描く秋晴れの知多広域農道、収穫を終えた田園を駆け抜ける
さて、味覚の道をしばらく走り続けると高台に差し掛かり、農道沿いの高砂山公園に立ち寄ることにした。 知多半島中央の丘陵地をはしる知多広域農道ではあるが、伊勢湾や三河湾の展望が開ける場所は限られる。 この高砂山公園は、伊勢湾と三河湾の両湾岸の景色を見下ろすことができる貴重な場所である。 小さな公園ではあるが、駐車場脇のトイレはいつも清潔に保たれ、知多広域農道ツーリングの休憩ポイントして申し分ない。
この日も公園展望台に足を運び、遠く知多半島先端へと続く伊勢湾岸の海岸線や、伊勢湾越しの対岸に連なる鈴鹿山脈の絶景を眺め、連日のモニター作業で疲労が蓄積した老眼の回復を図ってみる。 ちなみに、味覚の道の道中にある樽水本宮神社からの眺望も素晴らしく、時間が許すのであれば、参拝がてら立ち寄ってみてはいかがだろうか。
高砂山公園展望所からセントレア空港越しに伊勢湾を望む
高砂山公園から味覚の道に復帰すると、県道72南原交差点を過ぎて知多半島道路美浜PA側道方面へと迂回し、知多広域農道ふるさとロードへと走り継いで行く。 四輪は離合にも難儀する狭道区間となるが、二輪の機動力なら問題なく走り継げるであろう。 バイク親父の手前勝手な思惑ではあるが、このような繋ぎにくい迂回区間を残して農道の交通量を抑えておきたたい気もする。
さて、ふるさとロードを走りきって知多クリーンセンター脇を過ぎると、いよいよ新規開通区間でつながったすいせんロードにさしかかった。 そしてまずは走り慣れたすいせんロードの従来区間を走りきると、道なりに新規開通区間へと走り続けた...
結果的に、適度なアップダウンを伴う中速ワインディングは、知多広域農道全域を通して最もライディングを楽しめる区間になったかもしれない。 さらにその道中には、三河湾の眺望が広がる場所もあり、ライディングを楽しむも良し、景観を楽しむも良しの、申し分ない快走ルートが出来上がった。
すいせんロードの新規開通区間、三河湾を見下ろす極上ワインディング
路面もまだ真新しいすいせんロードの開通区間を走り終えると、道なりに従来のすいせんロードへと走り続ける。 従来区間のコンディションは何も変わっていないのだが、知多半島道路古布IC方面への迂回ルートに水を差されぬせいか、別物のような快走ルートに感じるから不思議なものである。 愛知用水がスプリンクラーで散水されるキャベツ畑の脇を抜け、すいせんロードを半島先端の突き当りまで走りきると、左手の片名漁港方面へと舵をきり駆け降りていった。
すいせんロードを知多半島先端まで走り切り、左手片名漁港へと駆け降りる
すいせんロードから海岸沿いを走る国道247まで駆け降りると、知多半島先端の師崎港方面へと走り続けた。 丁度昼時、漁港周辺の集落を抜けるルート沿いには、新鮮な魚介料理を供する食堂も多いのだが...秋晴れのツーリング日和のこの日、目に留まる食堂の駐車場は入りきらぬ車やオートバイで溢れていた。 晴れたらふらっと走り出した親父はその混雑に舌を巻き、潮の香りをおかずに湾岸の景色だけを味わい通り過ぎることにした。
無骨な食堂がお洒落な店舗に改装された丸誠、昭和親父お気に入りの安気な魚鶴など、できれば平日に休みを取ってゆっくり訪れたいものである。
三河湾から伊勢湾へ国道247で知多半島先端の海岸線をトレースする
国道247で知多半島先端の海岸線を三河湾岸から伊勢湾岸へと回り込むと、小佐漁港を過ぎたところで豊浜峠へと駆け上がり、丘陵部のすいせんロードへと折り返すことにした。 国道247からの分岐は分かりにくいが、津波避難路の表示が目安になるかもしれない。 豊浜峠から振り返ると、篠島の先に遠く渥美半島の海岸線を望む絶景が広がっている。
国道247が小佐漁港にさしかかり、津波避難経路ですいせんロードに駆け上がる
国道257から豊浜峠へと駆け上がると、往路でたどったすいせんロード、ふるさとロード、味覚の道、そして知多満作道へと一気に折り返し、佐布里池西側の知多岡田地区を訪れた。
江戸時代から昭和30年代まで知多木綿の生産地として繁栄した岡田地区には、江戸から明治期の黒壁塀やなまこ壁の蔵、昭和の木綿産業最盛期から続く簡易郵便局など、趣のある古い街並みが残っている。
知多半島先端で昼飯のお預けをくらったバイク親父は、古い街並みの散策をまたの機会に譲り、知多市主催のランチコンテストを連破中のB級グルメを探すことにした。
木綿産業最盛期から続く知多岡田簡易郵便局(国登録有形文化財)
そしてたどり着いたのは、岡田の古い街並みに隣接する「おかき屋 辰心」、おかきやあられなどを製造する竹新製菓の製造直売店である。 そしてお目当ての昼飯は、おかき等を直売する店内の脇にある食事コーナーで提供される「岡田のかつ丼」、前述の通り知多市のランチコンテストを連破中の名物カツ丼は、地元で人気のソウルフードらしい。
竹新製菓の製造直売所「おかき屋 辰心」で名物の「岡田のカツ丼」をいただく
相棒を駐車場に停め店内に入ると、早速食事コーナーで見つけた食券の券売機に向かう。 そして購入した食券は、もちろん「おかだのかつ丼」900円也の一択である。 多くのメディア取材を受ける人気メニューらしいが、昼食時を過ぎた遅い来店でもあり待ち時間なくカウンター席に落ちつくことができた。
食券を渡し配膳を待つ間に、それとなく先客の方々のテーブルを伺うと、老若男女全て名物かつ丼一択のご様子である。 食券販売機の豊富なメニューで、お目当てのカツ丼ボタンを探すに苦労したことを思い出し、もう少し絞り込んだ方が経営効率があがけいるだろうに...などと、余計な職業病を発症するリーマン親父だが、おかき直売目当ての団体客様が到着すると、700円也のかけうどんが飛ぶように売れるのかもしれぬ(笑)...などと、どうでも良いことを考えていると、ほどなく注文した岡田かつ丼が配膳された。
まずは見た目のインパクトが見慣れたかつ丼とは一線を画し、二つの目玉焼きがかつ丼全体を覆い隠している。 早速その半熟の黄身を溶いて、甘辛い醤油ダレをまとったカツに絡めていただくと、この一品が地元知多市の人気メニューに君臨するのにも合点がゆく。
香ばしく揚げられた薄いカツのサクサクの食感が特徴的で、絶妙な甘辛加減の醤油ダレとトロトロの黄身の愛称も抜群である。 分厚く食べ応えのあるカツを売りにするメニューを目にすることが多いゆえに、薄いカツの利点を生かした食感や味のコーディネートが素晴らしい。 メニューの多さに難癖をつけたリーマン親父ではあるが、食材費も調理時間もコスト削減に一役買いそうな薄いカツで勝負するアイデアが目から鱗の昼食となった。
岡田のカツ丼900円、半熟目玉焼きと甘辛い醤油ダレを纏ったサックサクのカツ
岡田のカツ丼を一気に平らげると、佐布里緑と花のふれあい公園周辺のワインディングを流し、知多広域農道の旅のレポートを終えることにした。
佐布里池から県道46を阿久比方面へと折り返し、往路の農免道路経由で国道23名四バイパス豊明インター経由で名古屋方面へ帰還すれば、道中の「JAあぐりタウンげんきの郷」で知多半島の農海産物を仕入れることもできるだろう。 また、佐布里池からさらに北へと知多満作道を走り継ぎ、東海市から国道247経由で名古屋港方面へと帰還することも可能であろう。
愛知用水の調整池佐布里池にかかる佐布里大橋、知多広域農道の旅を終える
さて、すいせんロードを繋ぐ県道の開通を耳にして走り出した知多広域農道ツーリング、繋がったすいせんロードは思った以上に走りごたえのあるワインディングで、そこから見下ろす三河湾の眺望も素晴らしかった。 さらに、煩わしかった迂回ルートを回避できるようになっただけでなく、一気通貫につながった従来ルートを前にもまして楽しめるようになった気がする。
知多広域農道には、味覚の道とふるさとロードの間に煩わしい繋ぎ区間も残っているが、既に勝手知ったる地元車両と二輪乗り限定の快走ルートとしては十分な仕上がりになったと思う。 バイク親父の思惑通り、山間が凍結する冬場の足慣らしとして、申し分ないツーリングルートを手に入れる旅となった。
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