2021/01/09 知多満作道/味覚の道/ふるさとロード/すいせんロード、知多広域農道走り初め(魚鶴、ココテラス、大蔵餅)

  伊勢湾と三河湾を隔てる知多半島は、名古屋からのアクセスも容易で多くの観光客が訪れる場所である。 観光シーズンともなれば、海岸沿いの国道247には多くの車が繋がることになる。 そして多くの観光客のお目当ては海鮮料理、昼食時には名の知れた海鮮料理店に順番待ちの行列ができる。

 そんな観光地色が強い知多半島ではあるが、凍結リスクが少なく冬場でも走れるツーリングルートとしても貴重である。 さらに、コロナ禍で県境をまたぐ移動自粛が求められる昨今、愛知県内の貴重な旅先として外せなくなった。

 そして今回も2021年の走り初めとして、知多半島中央の丘陵地を南北に走る知多広域農道へと駆け出すことにした。 知多広域農道は、知多市佐布里池を起点に、知多満作道(知多市)、味覚の道(常滑市)、ふるさとロード(美浜町)、すいせんロード(南知多町)と、市町毎に通称を変えながら知多半島先端まで続き、国道247の混雑を回避できるお役立ちルートである。

 丘陵地を走る広域農道ではあるが、残念ながら伊勢湾と三河湾の眺望が開けるポイントは限られる。 今回往路では、中部国際空港セントレア越しに伊勢湾の眺望が開ける、樽水本宮神社と高砂山公園に立ち寄ることにした。 そして、広域農道を走りきった片名漁港では、新鮮な魚介料理を供する魚鶴を訪れ昼食をとる予定である。 

 また、広域農道に折り返した復路では、農道沿いで地元米飼料にこだわった養鶏を営む、デイリーファーム直営の”ココテラス”に立ち寄り、昭和親父定番?の卵スイーツを仕入れて帰ることにした。 さらに、常滑の甘味処”大蔵餅”で縁起物の開運紅白雑煮をいただき、セントレアを対岸に臨むりんくう護岸で2021年の走り初めを終える算段である。

 さてさて、何度も通ったお馴染みのルートだが、良くも悪くも諸行無常の世の中、今年も変わらず走り出せる我が身に感謝しながらの走り初めである。 しかし、各地に大雪を降らせる大寒波の最中、晴れ間が広がる名古屋だが最高気温予報は4℃! 旅の起点となる佐布里池の梅林にたどり着く頃には既に凍える昭和親父、百花に先立ち春を知らせてくれる梅の蕾はまだ固いが、コロナ禍が過ぎ去り甘い梅の香が漂う春を妄想しながら農道へと走り出した。


ルート概要

佐布里緑と花のふれあい公園-知多広域農道知多満作道-(県46深田脇交差点)-知多満作道→(県259東渕馬交差点)-味覚の道→樽水本宮神社-味覚の道-(県269桧原交差点、過ぎて左折)→高砂山公園-味覚の道→(県72南原交差点、過ぎて左折)-知知多道路美浜PA側道-県273→東平井-県274→(ジョイフルファーム鵜の池、過ぎて右折)-知多広域農道ふるさとロード-県276-樫木-知多広域農道すいせんロード-県279→九條-県7→南知多道古布I.C.→佃煮街道-すいせんロード→観光農園花ひろば―すいせんロード(突き当り左折)→片名漁港-国247→魚鶴-国247→小佐漁港-市道-すいせんロード-往路へと折り返し

知多広域農道(すいせんロード、ふるさとロード、味覚の道)→菖蒲池(国247)→ココテラス-国247→多屋-中部国際空港線→大蔵餅-セントレアライン側道→りんくう護岸


ツーリングレポート

 旅の起点となった佐布里池は、知多市、東海市、阿久比町に工業用水を供給する愛知用水の調整池である。 池周辺には、佐布里緑と花のふれあい公園が整備され、オリジナル品種の佐布里梅はじめ25種、5,700本の梅が植えられている。 2月中旬~3月中旬にかけて紅白の梅が一斉に咲き誇り、梅林は甘い梅の香りに包まれる。

 震えながら早咲きの梅を探すも春の気配は見つからず、凍えているのは小寒に走り出す物好きなバイク親父だけでは無いらしい。 丹田に気を入れ震えをとめると、皮ジャケットのファスナーを首元まで引き上げ、キンと冷えた透明な空に向け知多満作道を駆け上がった。


 知多満作道を道なりに走ると、知多市から常滑市への境界を越えて知多広域農道は味覚の道へと名前を変える。 路側には、市町境を越えるごとに変わる農道の案内板が立つが、道なりに走ってしまうとルートから外れる分岐も数か所存在する。 上述の”ルート概要”に、分岐点やランドマークを記載したので、初めての方は事前にルート確認しておいた方が無難だろう。

 さて、味覚の道がセントレアにアクセスする知多横断道路の高架をくぐると、程なく樽水本宮神社にさしかかった。 豊川市の砥鹿神社を本社とする本宮神社、標高86.4mの高台からはセントレア越しに伊勢湾の景色を望むことが出来る。 参道階段を一旦やり過ごすと、境内にのぼる車道分岐が見つかる。

 まずはZX-6Rとともに参拝を済ませ、境内を通り抜けた先に設けられた展望所へと歩く。 すると、新年の抱擁初めだろうか? 思いがけず、神前で抱き合う男女の邪魔をしてしまったようである。 若い者はいいなぁなどと人生のベテラン感を出そうと思ったが、結構な年季らしきお二人(笑)。 海外ではよく見かける様ではあるが...ここは礼儀正しい日本人らしく、何とも気まずい会釈を軽くかわし、新年の伊勢湾へと目をそらす(笑)。 伊勢湾をはさんだ対岸には、三重の海岸線が四日市から伊勢鳥羽へと続き、その奥には冠雪した鈴鹿山脈が広がっていた。


 樽水本宮神社の参拝を終え味覚の道に復帰すると、もう一つのビューポイント高砂山公園にたどり着いた。 農道沿の小さな案内看板に従い分岐して振り返ると、衣浦港越しに三河湾の眺望が広がっている。 伊勢湾と三河湾両方のビューポイントで、知多半島が両湾を分ける半島であることを認識する。

 高砂山公園脇にZX-6Rを停めて小さな展望台に登ると、三河湾の景色と反対側に伊勢湾の景色が広がっていた。 眼下の中部国際空港セントレアから、これから南下する南知多町まで海岸線がつながっている。 小さな公園だがトイレも清潔にメンテナンスされており、知多広域農道ツーリングで重宝する休憩ポイントである。 

 樽水本宮神社と高砂山公園を後にして、さらに味覚の道を南下すると、県道72南原交差点を過ぎて左折し、知多半島道路美浜PA裏の側道へと走り続けた。 その後、県道273,県道274をつなぎ、真っすぐなアップダウンが続くふるさとロードへと分岐した。

 その後、知多南部クリーンセンタ―を過ぎて始まるすいせんロードに走り出すと、”佃煮街道”や”観光農園花ひろば”などの観光施設をランドマークに、半島先端高台の畑作地まで走り続ける。 すいせんロードの突き当りを左に下ると三河湾側の片名漁港、右に下ると伊勢湾側の小佐漁港へとたどり着く。 今回は昼食をとる予定の片名漁港側へと駆け降り、知多広域農道の往路を無事走り終えることとなった。 

 三河湾を見下ろしながら片名漁港に駆け降りると、突き当たった国道247を師崎方面に折れ、程なく昼食をとる魚鶴にたどりついた。 ZX-6Rを停めて早速店内に入ると、入り口に置かれたアルコールで手指を消毒し、小上がりテーブルに落ち着いた。

 そして、海鮮丼1,600円也、岩ガキ2個600円也を注文し、スマホで撮影した写真などながめ配膳を待っていると...思いがけず奥のテーブルに着いた男女の注文が聞こえてきた。 「...を刺身抜きで」って、二人揃って主役であるはずの刺身抜きの注文に、茶を吹き出しそうになってしまった。

 トンカツ定食のトンカツを抜いたらキャベツの千切り定食、刺身定食の刺身を抜いたらツマ定食、刺身の代わりに何が盛られてくるのか興味深々ではあるが(笑)。 コロナ禍の影響で生活様式が一変したこのご時世、口にしたくない刺身を売りにする店に、どうしても入らねばならぬ訳があったのだろうと、手元のスマホに目を戻す。

 さて、新年の風を切って冷えた身体が人心地つくころには、注文した海鮮丼と岩ガキが運ばれてきた。 艶のあるカンパチ、スズキの甘みと適度な弾力、赤貝、白ミル貝、ホタテの旨味と歯ごたえのバリエーション。 そして、ヤリイカ、タコ、甘くとろける赤えびが盛られた丼は、新年らしく華やかな盛りっぷり。 海鮮丼の合間には、小ぶりだがコクのある岩ガキを噛みしめ、あふれ出る海の香りを十分に楽しんだ。

 日頃から、海鮮目当てに南知多を訪れると、有名店の席待ち名簿に名を連ねる気にもなれず、垢ぬけないが新鮮で美味い魚が食べられる店を探す昭和親父。 しかし、店の世代交代が進んだせいだろうか、折角探し出した昭和テイストの素朴な店は小奇麗になり、行列ができる店に様変わり。 水族館ばりに生簀が並びリーズナブルな定食を供する”丸誠”、骨ごとぶつ切りにされたアジやカレイをコチュジャンでいただく”朝日屋”...席待ちさえ厭わなければ、小奇麗な店で変わらず美味い海鮮をいただける。

 今回訪れた魚鶴が垢ぬけぬというつもりは無いが、美味しい海鮮を行列に並ぶことなく味わえるのはありがたい。 「刺身定食を刺身抜きで」というのは極端だが、苦手な食材があれば融通を利かせてくれそうである(笑)。

 魚鶴で新年の海鮮三昧を終えて国道247に走り出すと、三河湾から伊勢湾側へ時計回りに半島先端の海沿いをトレースする。 樽水本宮神社や高砂山公園から海岸線を見下ろしたが、折角の知多半島ツーリングゆえ潮が香る堤防沿いをクルージングしておきたいところ。

 その道中、師崎のフェリー乗り場に立ち寄ってみる。 かつては、師崎から伊良湖や鳥羽へのカーフェリーが運航していたが、現在は篠島と日間賀島へのカーフェリーと、伊良湖への高速船が運航しているだけである。 かって企画した、師崎と伊良湖を海路でつないだ三河湾一周ツーリングや、師崎から鳥羽へ海を渡る伊勢志摩ツーリングなど、今はもう叶わなくなってしまった。

 国道247が小佐漁港を過ぎたところで、知多広域農道すいせんロードへと駆け上がり、往路へと折り返すことにした。 小さな津波避難経路表示があるだけの分岐は分かりにくく、Googleマップ等で事前に分岐点を確認しておいた方が無難である。 そして、すいせんロードへと駆け上がりながら振り向くと、三河湾に浮かぶ篠島の先に渥美半島が霞んで見える。 これぞローカル・ツーリングの醍醐味、名も無き小路からの絶景を独り占めだっ、などと悦に入るバイク親父だが...その脇を畑仕事に向かう爺様の軽トラがガーガーと登ってゆく(笑)。 一見ツーリング親父が勝手に感動しているが、あの爺様にとっては仕事場の日常なのである。

 さて、小佐漁港から知多半島丘陵へと上り切ると、すいせんロード、ふるさとロード、そして味覚の道へと走り続けた。 街中の混雑に煩わされない広域農道だが、ルート沿いに地元の土産店や休憩できる飲食店は皆無である。 今回も、高砂山公園を過ぎたところで、国道247へと分岐して、家族への土産と休憩場所をさがすことにした。

 まず立ち寄ったのは、とれたてたまごの店「ココテラス」。 味覚の道沿いで養鶏を営むデイリーファームの直営店、地元産米飼料にこだわった新鮮な卵のスイーツを供するみせである。 卵農家の直営店らしく採れたて玉子も販売され、玉子料理を供するレストランも併設されている。

 卵かけご飯がソウルフードの昭和親父。 おのずと卵を使った料理やスイーツにも食指が動く。 この日は、フラグシップ商品らしき”しあわせのプリン”とシュークリームを、家族への土産に仕入れて帰ることにした。

 コクがあってひたすら滑らかなプリン、バニラビーンズの甘い香りにキャラメルの香ばしさがアクセントとなる。 そしてもう一品、サクッサクッのシューに滑らかなカスタードがたっぷり。 何気なく仕入れたツーリングの土産は、文字通りしあわせになれる土産であった。

 コロナ禍の影響で、客商売を営む店舗には適切な感染防止策が求められるようになった。 ココテラスの感染対策は筋金入り、鳥インフルエンザの感染対策でしのぎを削る養鶏業者の危機管理意識を垣間見る。 非接触の消毒用アルコール噴霧器、店員とのやりとりも最後に商品を受け取る時のみで、支払いはレジ横に据えられた自動精算機で済ませる徹底ぶり。 いやはや、プリンを買うのにこの物々しさ、普通の暮らしの定義が変わってしまった現実を目の当たりにする。

 ココテラスを後にして国道247を北上すると、セントレア方面へ分岐して大蔵餅にたどりついた。 大蔵餅は、地元常滑で無農薬/低農薬栽培されたもち米や、北海道十勝産小豆にこだわった餅の専門店。 看板商品は、知多産のヨモギ新芽をつき込んだ餅を、こし餡でつつんだ”大蔵餅”。 併設された甘味処では、常滑焼のうつわで餅専門店らしい甘味をいただくことができる。

 フワフワでボリュームたっぷりのかき氷が人気で、夏場ともなれば長い行列ができる店である。 ウエブ予約の仕組みもあるようだが、あまりの混雑ぶりに足が遠のいていたのが正直なところ。 季節がら氷目当ての客が少ないのか、コロナ禍の影響で甘味処の利用者そのものが減っているのか分からぬが、落ち着いて暖かい甘味をいただけることとなった。

 この日は正月らしく、お気に入りの開運紅白雑煮650円也を注文した。 白醤油の京風雑煮にのし餅と明太餅が入った開運紅白雑煮、凍えた身体を温め夕飯前の小腹を満たすに丁度良い。 

 大蔵餅の開運紅白雑煮で身体を温めると、中部国際空港セントレアを臨むりんくう護岸に移動した。 かって、海外出張の度に頻繁に訪れていたセントレアだが、コロナ禍をへて出張の機会は無くなり、空港を覆う仕事のイメージも徐々に消えてきた。 すると不思議なもので、仕事の記憶に上書きされていたのだろうか、家族との色々な旅の記憶ばかりが蘇ってくる。

 新型コロナウイルス感染症により失われたかっての日常だが、大切なものが何だったのかを認識しなおす機会になったことも事実である。 残念ながら、その大切な記憶を新たに増やそうにも増やせぬのが現実。 セントレアから家族旅行に飛び立つ様を想い浮かべ、一刻も早くコロナ騒ぎが収束してくれることを祈りながら、2021年走り初めの旅を終えることにした。  


ツーリング情報


魚鶴  愛知県知多郡南知多町大字片名字新師崎5-7 (電話)0569-63-0926

http://r.goope.jp/uotsuru/


ココテラス  愛知県常滑市大谷字芦狭間249-1 (電話)0569-36-7060

https://www.coco-terrace.com/coco-terrace/


大蔵餅  愛知県常滑市鯉江本町2-2-1 (電話)0569−35−2676

https://www.ohkuramochi.jp/  


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