2025/5/24 [2/2日目]軽井沢ペンション・シルバーストーンに集う旅(浅間サンライン、ビーナスライン、大門街道)


 軽井沢のペンション・シルバーストーンに、会社OBの先輩達と集う旅の二日目である。 初日の昨日は、走り出しの三河地方で想定外の雨に降られたものの、信州地方に入ってからは予報通りのドライ・コンディションとなり、先輩幹事の充実した行程表に沿ってマス・ツーリングを満喫する一日となった。

 しかし、二日目の今日は生憎の雨予報、東信州から尾張三河地方への帰還ルートは、午後になるとぶ厚い雨雲に覆われるらしい。 そしてその雨予報に日和った晴れふら親父は、県道40(ビーナスライン)と国道152(大門街道)を経由したところで、往路の下道に折り返す本隊と別れて中央道に駆け上がり、降り出す前の帰還を目論むことにした。

 晴天の復路であればソロ・ルートをたどり、武田信玄が宿敵上杉謙信と戦った川中島古戦場をめぐる予定であったが、500年程前の戦いの痕跡が多少の雨で流されることもないだろうと、機を見て旅を仕切り直すことにした次第である。

 さてさて、初日のツーリングレポートではてんこ盛りの行程に力尽き(笑)、シルバーストーンにたどり着いたところでレポートを終えていた。

 よって二日目のレポートは、三年振りに先輩達と集い酒を酌み交わしたところからスタートさせていただきたいと思う。 日本の二輪レースの創成期を築き世界を制したケン鈴木さんの偉業や先輩達との交流など、三年前のレポート(一日目)で紹介しているので、そちらも合わせて参照していただけれたらと思う。


ビーナスラインでたどり着いた女神湖、肌寒い曇天の避暑地に人影はまばら



ルート概要


(2日目)

ペンション・シルバーストーン-市道→塩沢-国18→浅間サンライン入口-県80,県79(浅間サンライン)道の駅雷電くるみの里県79(浅間サンライン)→別府-県94→牧家-国18→牧家西-県166→島川原-県40→蓼科町役場-県40女神湖県40(ビーナスライン)白樺湖国152(大門街道)→湖東新井-国299→福沢工業団地入口-グリーンライン→小泉山-県188→茅野市運動公園-県197→茅野-国20→中央自動車道諏訪IC諏訪湖SA


ツーリングレポート


 下仁田街道の青紅葉に覆われた和美峠越えの余韻と共にシルバーストーンにたどり着くと、いつものように穏やかなケン鈴木さんと玄関に飾られたド迫力のKR500に迎えられた。

 異常気象に自然災害、国際紛争やパンデミック等々、信じられぬことばかりが起こる今の世の中、日本の二輪レースの創成期を牽引したケン鈴木さんの、思い出の品々が詰まったこの宿で過ごす時間は、昭和親父がオートバイに憧れ育った懐かしい時代に浸れる貴重な時間なのである。

 

 心地よい疲れと共にペンションシルバーストーンにたどりついた


1978 -1979年WGP250/350を二連覇したKR250、1980-1982年WGP500に挑戦したKR500、ここを訪れた伝説のライダー達の近況等々、マニア垂涎の品々


 ケンさんに迎えられ、それぞれ自分の部屋で荷を説き順に入浴を済ませると、かつてケンさんが凌ぎを削ったレース活動の裏話を聴きながら時を過ごし、いよいよ欧州の香りが漂う夕食の時間となった。 そして夕食後もワインのボトルは空き続け、ベテランバイク乗り達の深く熱~い話で軽井沢の夜が更けてゆく。 いつも遅くまで付き合ってくれるケンさんには、感謝するばかりなのである。

 ところで、昨年2024年に40周年を迎えたシルバーストーン、良いことも悪いことも永遠に続くものはないのだが、できるだけ永くこの素敵な場所が続いてほしいものである...実際のところは、そういう己の方が乗り続けられるかどうか怪しいのだが(笑)。

欧州の香り漂うシルバーストーン、お洒落な食事にワインもすすむ


 呑んで語ってぐっすり眠った朝、ゆっくりと朝食をいただき、リーズナブルな会計を済ませると、手際良く身支度を整える先輩達に遅れながら早朝の軽井沢に走り出した。 幸いにも雨はまだ降り出してはいなかったが、突然の雨に備えてレインウエアーを着込んでの走り出しである。

 その後、東信州の街を繋ぐ旧中山道国道18から、浅間山の南西麓を走る浅間サンラインに駆け上がる隊列に続いた。 幹線国道18に並行する浅間サンラインは、軽井沢町と上田市を結ぶ県道80、県道79、そして広域農道の総称で、浅間山や八ヶ岳連峰を望む絶景ドライブコースとして知られている。

 残念ながら、今にも泣きだしそうな曇天に、佐久平を挟む浅間山と八ヶ岳連峰の峰々を望むことは叶わなかったが、信号停止も少なく幹線国道18のバイパスとしても重宝するルートである。


浅間山南西麓を走る浅間山サンライン、生憎の曇天に浅間山や八ヶ岳連峰の峰々は望めず


 そして、浅間山サンラインが上信越自動車道小諸ICへの分岐を過ぎると、程なく休憩ポイントの道の駅雷電くるみの里にたどり着いた。 未練がましく、これから越える八ヶ岳連峰の稜線が望めぬかと裏手展望デッキに回ってみるも、滞りなく車が流れる上信越自動車道の路面を見下ろすだけの眺めであった。


道の駅雷電胡桃の里、地元の無双力士雷電と信濃くるみが駅名の由来


 道の駅雷電くるみの里から浅間サンラインに走り出すと直ぐに、県道94に分岐して上信越自動車道と国道18を越え、蓼科山西麓に駆け上がる県道40へと走り継いだ。

 そして県道40が立科町役場を過ぎ街中を抜けると、いよいよ八ヶ岳を越える山岳ルートらしい景色になってくる。 なんと、路側に見つけた温度計表示は10℃を超える程度! 30℃の真夏日にせまる下界から走り出した井出達ゆえに震え上がるが、雨を覚悟して羽織ったレインウエアーの防寒性に助けられる。

県道40で蓼科山西麓へと駆け上がり、10℃を超える程度の気温に震える


 その後、緩やかに弧を描く県道40を上り続けて標高を稼ぐと、やがて白樺の林間ルートとなり、さらにはカラマツ等の針葉樹林帯に差しかかる。 それにしても、景観が望めぬ雨予報のせいだろうか、遭遇する観光車両は皆無であった。 混雑する観光地は避けたいくせに、ここまで寂しいと休日気分を味わえぬ...一般庶民の観光とはそんなものだろう(笑)。

 

緩やかな県道40で標高を稼ぐと、白樺やカラマツの林間ルートが始まる


 その後しばらく蓼科高原らしい林間ルートを走り続けると、とつぜん白樺林が途切れ展望が開ける蓼科牧場にさしかかった。 そして、八ヶ岳連峰の北端に位置する蓼科山(標高2,530m)、諏訪富士とも呼ばれる円錐形の山容を見上げる...はずだったが、深い霧に包まれた蓼科高原牧場からその眺望は望めず、先行する隊列を追うのが精一杯であった。


 霧に覆われた蓼科牧場、諏訪富士と呼ばれる円錐形の蓼科山は望めず


 蓼科牧場を過ぎると程なく、次の休憩場所となる女神湖にたどり着いた。 女神湖は灌漑用に造られた人造湖で、”女の神山”と呼ばれる蓼科山を映すことから女神湖と名付けられたらしい。 白樺高原にあるもう一つの人造湖、白樺湖ともビーナスライン(県道40)で繋がり観光開発が進んでいる。

 さて女神湖にたどり着いてみると、寒々とした女神湖に観光客はまばら。 本来ならば周囲約1.5kmの対岸まで歩き、標高1,540メートルの湖面に蓼科山が映る絶景を楽しみたいところだが...今にも降り出しそうな曇天に蓼科山の山影を望むことも叶わず。

 そして早々に休憩を終えると、天気予報サイトの雨雲レーダーで確認した雨雲の動きなど踏まえて帰還ルートを思案し、急ぎ帰路に着くこととなった。 結果的に、尾張三河地方が雨雲に覆われる前に帰還を果たそうと、中央道諏訪ICからソロ・ルートをたどる旨を先輩幹事に伝えての走り出しである。

 

観光客もまばらな曇天の女神湖、休憩もそこそこに急ぎ帰路に着く



 そして予定通り、女神湖からビーナスライン県道40で白樺湖を経由し、大門街道国道152を茅野市街に駆け降りるまで隊列に繋がると、諏訪ICに分岐する国道20交差点で挨拶を交わし隊列から離れることになった。 毎度のことながら、どんな時も、慌てず、騒がず、下道をたどる筋金入りのバイク乗り達には感心させられる。

 その後高速道路移動に備え、ガソリンスタンドの給油ついでに雨装備を再確認すると、独り諏訪ICから中央高速道に駆け上がった。 そして、中央高速道を名古屋方面に走り出して程なく諏訪湖SA(下り)に立ち寄ると、しばし諏訪湖を見下ろしながら東信州の旅の余韻にひたり、長丁場の高速道路移動に頭を切り替えた。

中央道諏訪SAから諏訪湖を見下ろし、八ヶ岳を越える東信州の旅を思い返す


 実際に中央道に走り出すと思惑通り順調に距離を稼いで行くが、単調な高速道路移動が退屈になった晴れふら親父は、衝動的に飯田山本ICを降りて往路の国道153に折り返すことにした。 広域農道の峠道なんぞに立ち寄りながら、雨予報でショートカットした旅を補填する目論見だったのだが...結果的にそんな思惑通りに事が運ぶはずも無く、予報どおりに降り出した雨に洗われながら退屈な帰宅となった(笑)。 贅沢は言うまい、無事に帰り着くことが出来れば、また走り出せる。 



あとがき


 引退後数十年経ってもかつて没頭した仕事を熱く語る先輩やケン鈴木さん、己もそうありたいと還暦の節目での引退を思い止まり、己の仕事を締めくくる5年のプロジェクトを起動した。 シルバーストーンを訪れた三年前のレポート(二日目)で触れたその仕事も大詰めを迎え、これまでのリーマン稼業を納得できる形で締めくくることが出来そうである。

 ところで世の中の働き方には、「働かねばならない」と強迫観念に駆られたワーカホリックと、「働きたい」と肯定的な態度を表すワーク・エンゲージメントの二つがあるらしい。 そして、リスキーなオートバイに乗り続ける友人に限れば、強迫観念に駆られる働き手を見たことが無いというのが正直な感想である。

 実際のところ、今だに口角泡を飛ばし仕事に没頭する自分と対照的に、引退して清々したと涼やかな顔をするバイク乗りの友人も多い(笑)。 その選択は人それぞれだが、人生の幕引きまで乗り続ける筋金入りのバイク乗りは、忖度も程々にやりたいことをやり切るメンタリティと実践力を備えているということであろう。

 世間の価値観も随分と様変わりし、背中を追いかける先人が亡くなり、諸行無常の世の中を再認識することが多くなってきた。 人は生きてきたように死んでいくらしい、その時々を後悔せぬために、まだまだ学ばねばならぬことが沢山ありそうである。



ツーリング情報


ペンション・シルバーストーン  長野県北佐久郡軽井沢町長倉248 (電話)0267-46-2832


道の駅 雷電くるみの里  長野県東御市滋野乙4524-1 (電話)0268-63-0963



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