ZX-6Rとライディング vol.2
早いもので、GSX-R1000から新しい相棒ZX-6Rに乗り換えて二年が経とうとしている。 社会的には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が治まらず、我々の日常生活や働き方も大きく様変わりしてしまった。 個人的にも、還暦を越えて人生の節目となる大きな出来事が重なり、大袈裟に言うと激動の二年間となってしまった。
そんな”激動の節目"になるとは露知らず、老後のバイク旅に軽い相棒が欲しいと思い立っての乗り換えだったが、期せずして共に”激動の節目”を乗り越えたこのバイクは、忘れられぬ相棒となったわけである。 コロナ禍の緊急事態宣言下で走れぬ日々が続いたが、ZX-6Rと二回目の冬を迎えて走り続けるために追加した、新たなライディング装備など紹介してみたい。
ショートミラー
できれば近づきたくない挙動不審な先行車を、信号停止などで安全にパスするため、触覚のように伸びたバックミラーをショートタイプのミラーに交換した。 後方確認の視認性と折り合いを付ける必要があるが、四輪のバックミラーと接触リスクを避けられるメリットは捨てがたい。 基本的に、車体がコンパクトに収まる見栄えは歓迎だが、保安基準適合品のメーカやデザインも限られるため、相棒のデザインとの相性も含め交換品は慎重に選びたいところ。
今回は、TANAX カウリングミラー9(AEX-9)を選択したが、思惑通り、ミラー端がハンドル端よりも随分と内側に収まり、己の車幅感覚で停止車両バックミラー等との間合いを見切れるようになった。 後方視認性に関しては、後方確認の邪魔になる肘を持ち上げる、等の予備動作が必要になったが覚悟の上(笑)。 視認性向上の効果は不明だが、取付位置をかさ上げするアダプターも付属されている。
"挙動不審な先行車を安全にパス"と書いてはみたが、思わぬ違反になる可能性もあるので、道路交通法を復習しておいた方が良い。 非常に分かりにくいのだが、バイク道楽は的確な状況判断と自己責任を覚悟した大人の嗜みなのである。
例えば、車道外側線で区切られた路肩走行に関しては、歩道が敷設されている場合車道扱いとなり、基本的にオートバイは走行可能らしい。 しかし、歩道が敷設されてい無い場合は路側帯と呼ばれ歩道扱いとなる。 また、高速道路の路肩は、緊急車両の走行や故障車の停車など緊急事態に対応するためのエリアなので、オートバイも車両も通行できない。
その他、白い実線や黄色い実線の車線跨ぎは違反となり、停止線を越えて停止車両の前に出ると信号無視、路肩走行は左側からの追い越し違反のリスクを伴う...等々、道路交通法には”追い越し”に関する記載があるだけで、具体的に何が違反になるのか非常に分かりにくい。
わかりにくい話は法律の専門家に任せるとして、わかりやすい晴れふら親父の失敗談をお伝えしておきたい。 2011年9月、琵琶湖畔のツーリングで金免許を返上した苦い記憶である。 あれから10年、既に金免許とともに名誉の回復を果たしております(笑)。
琵琶湖ツーリングの回想
湖岸を走る県道331、さざなみ街道とは良く言ったもの、琵琶湖の湖面を渡る風に細かなさざなみがかすむ対岸まで続いている。 そして限りなく高い秋の空・・・初秋のツーリングとして文句のつけようの無いコンディション。
爽やかな初秋のコンディションで、さざなみ街道のクルージングを満喫しながら彦根の街に差しかかった。 すると突然の渋滞、路側に逸れて先の様子を伺うと・・・工事関係者かとおもった道を遮るお兄さんはおまわりさんであった。 誘導に従い反対車線の空き地で、路側帯通行違反の罪名を告げられる。 ああ、それでも、秋の空は高くひたすら綺麗である(泣)。
通行車両をせき止める取締りが渋滞に拍車をかけ、渋滞にごうを煮やしたバイクのリが次々と誘導されてくる。 オチ鮎のヤナ漁を髣髴させる取締り(笑)、9月末まで秋の交通安全運動の真っ最中、この先も取締りをやってるので気をつけるよう戒めのお言葉をいただきツーリングをリブートする。
うかぬ顔で家に帰るとかみさんにその訳を告げる・・・で、呆れたと笑い飛ばされる。 彼女にとっては、無事故で五体満足に帰ってくれば、他のことは呆れた道楽のひとかたまりらしい。 笑い飛ばされると気持が吹っ切れるから不思議なものである。 毎度の事ながら、気持を切り替えさせてくれるかみさんに感謝することとなる。 と、同時に型通りのペーパーワークとともに安全運転をうながす警察官の言葉より、間抜けなだんなを笑い飛ばすかみさんの笑い声の方が、親父の無茶な運転を戒める効果は絶大なのである。
インカムカメラ+バッテリー
世の中は、思っているほど(思っているとおり)バイク乗りに寛容でない。 旅先で触れる人情に癒される我が身、道路上で遭遇する悪意と十羽一絡げにするつもりは無いが、身を晒すオートバイにドラレコ機能は必須かもしれぬ。 これまで、カメラ機能を有するインカムをヘルメットに装着していたが、バッテリー容量が不足し録画スイッチを頻繁にON/OFFする煩わしさがあった。
今回、補助バッテリーをヘルメットに装着し、終日のツーリングが録画できるように工夫した。 給電ケーブルを引きまわしたくなかったので、小型のバッテリーをヘルメットに貼りつける力業(笑)、当然のことながら防水性などへの勘案は無しだが、カメラ本体を含め通り雨くらいなら問題なさそうだ。
ドラレコのおまけ機能と言っては何だが、己のライディングに違和感を覚えた時に、その原因が何なのか振り返る道具になる。 現場の試行錯誤では分からなかった不調理由でも、後日冷静に録画をチェックしてみれば、客観的な原因が見えてきたりするものである。
ドラレコで気づくライディングの癖
コロナ禍緊急事態宣言明けの南信州ツーリング、阿南から天竜峡へ続く県道1号、様々なコーナーが連続する山岳県道で感じた違和感、時折コーナーの立ち上がりラインが苦しくなる...後日、インカムカメラの録画映像を確認してみると、ブラインドコーナーの進入ではコーナー奥で一気にリーンするタメができている反面、先が見通せるコーナーではダラダラとイン側ラインから進入する癖が見て取れる。 特に、S字の切り返しが見通せている場合、手前コーナーの倒しこみがおろそかになり、立ち上がりが苦しくなっていたようである。
さらに、できる事ならば、同行した友人とドラレコ映像を交換できれば、己のライディングの欠点を把握して、修正のヒントを得ることが出来るかもしれぬ。
例えば、スパ西浦モーターパークの最終コーナー前の切り返しで、追走する友人に撮影してもらったスナップショット。 遮るものがないサーキットでも、コーナーの先を確認したいのか?頭がアウト側に残るコーナリングフォーム、せめてハンドルポストの上に置いてるつもりだったのだが...特にS字手前のコーナーのリーンで荷重の落とし込みが甘く、結果的にS字の立ち上がりラインが苦しくなってしまう己の癖にたどり着く。
実際に己のライディングを目にしてみると、全くもって、思い描くイメージと違っているものである。 今更ながら、出口の視界を確保する意識ばかりが先行せぬよう、倒しこみのポイントとイン側荷重の落とし込みを意識する必要がありそうだ。 先のことばかりに意識が行き過ぎて、手前のことがおろそかになる性分は、ライディングに限った話ではなさそうだ(笑)。
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