W800 streetとライディング vol.6(マフラーに溶けて貼りついたカバーの除去)
はじめに
昭和の懐古バイクとも言えるW800 streetに乗り換えてから、令和の最新技術でEuro5のエミッション規制をクリアした、空冷二気筒360°クランクエンジンの乗り味にばかり触れてきた。 しかし実際に乗り始めてみると、シンプルで剥き出しの空冷エンジン故の煩わしさがあることも分かってきた。
地味な話だが、バイクカバー、インウエアなどの合成繊維製品がエキパイに溶けて貼りつき、その厄介な除去作業に煩わされるのである。 W800 streetのようにメッキされたエキパイの場合、スクレッパ―やブラシ、コンパウンドなどの力業で削りとろうとすると、メッキ面に取り返しのつかないダメージを与えかねない。
最近は、動画サイト等で色々な除去方法が紹介されているが、付着物の状態やキズの許容レベルは人それぞれで、使用する道具やケミカルへのこだわりもあるようだ。 結局のところ、自分のニーズに合った方法を見極めなければ、効果の無い高価なケミカルを購入したり、愛車に傷を負わせて後悔することになりそうだ。
前置きが長くなってしまったが、実際にW800streetの慣らし運転の最中に、真新しいクロムメッキのエキパイに、ポリエステル系のバイクカバーを貼りつかせたことがある。 全てのケースに通用するか否かは不明だが、上手く除去できた事例として紹介させていただきたい。 同様のトラブルに遭遇した方々の、解決の一助になれば幸いである。
除去の基本的な考え方
もともと耐候性や耐食性があり、可塑性を有する高分子素材が溶着した付着物は、化学的にも、物理的にも、下地のメッッキ面にダメージを与えずに除去するのが困難であろう。 したがって、まずは付着物を燃やし灰化させて水溶性にしてから洗い流すというのが基本的な方針となる。 付着物を燃焼させる温度程度であれば、下地の金属マフラーが受けるダメージは抑えられるだろう。
具体的な除去作業
まずはエンジンを稼働させ排気熱で付着物を灰化させる。 高速道路走行等で排気温を上げてやるのが効果的かもしれない。 付着物が白く変色して灰化したのを確認したら、洗車スポンジ等を用いた流水洗で付着物を洗い流す。
黒光りしていた高分子素材の付着物を燃やすと白く灰化した
エンジンの排気熱だけで十分に灰化できなかった場合、料理用のCB缶バーナーなどで炙ってやる。 ぶ厚い付着物の場合は、燃焼に必要な酸素が十分に供給されず、未灰化の付着物が残るのかもしれない。 また、下地のメッキ面を加熱し過ぎると”焼け”が発生し、除去後に余分なケミカル処理が必要になるので、バーナーを一点に長く集中させないようにする。
面倒だが、一度に終わらせようとせずうに、灰化と洗浄を何度か繰り返す忍耐力が必要かもしれない。
排気熱で灰化が足りぬ場合、”焼け”に注意しながらCB缶バーナーで炙る
また、僅かな灰化物やくすみが残ってしまった場合、百均で売っている台所用のメラミンスポンジ、ボンスターを使った水洗が効果的であった。 今回、力を入れてこすらなければ目立つ傷がつくことは無いと思うが、目立たぬ場所で確認して用いるのが良いかもしれない。
灰化した付着物は、研磨剤等で強くこすらなくとも軽く洗い流せる
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