2024/04/13 [2/2日目]道の駅をつなぎ春の奥飛騨温泉郷へ(神岡カントリーロード、やまびこロード、喫茶チェリー、栃尾温泉 宝山荘)


 今日は会社OBの先輩達と、奥飛騨温泉郷に宿泊して折り返す旅の二日目である。 昨晩は贅沢なかけ流し温泉と美味い郷土料理を堪能し、久しぶりに再会したツーリング仲間と楽しい夜を過ごすこととなった。

 昨日の行程は、三河から南信州へ国道153を北上し、冠雪が残る木曽駒ケ岳、御嶽山、乗鞍岳を望みながら、伊那から木曽そして奥飛騨へのルートをたどり、宿泊した奥飛騨温泉郷栃尾温泉宝山荘にたどりついた。

 二日目の今日は、奥飛騨温泉郷からさらに国道471を北へ走り出し、白山を望みながら奥美濃へ抜ける北回りのルートが案内されており、どんな景色や峠道をたどることになるのか楽しみである。 

 さて、己が還暦を越えた現在でも、筋金入りのバイク親父達から刺激をうけることが多く、時に己の生き様を考える機会にもなるツーリングである。 晴れふら親父は、今回の旅でどんな気づきを得たのか? 公私に渡り走り続けようと足掻き続ける親父のジタバタぶりも合わせてお伝えしてみたい。


県道75で神原トンネルを貫け、行く手遥か先に冠雪を纏った白山連峰を望む



ルート概要


(一日目)

東海環状道豊田勘八IC-国153→中金町日影-県344,県33→豊岡-国153→道の駅信州平谷-国153→湯川(バス停)-広域農道西部山麓線→砂払町-県8→白山町三丁目-県15→大門-県15→座光寺宮崎-ハーモニックロード(月夜平大橋展望台)→高森カントリークラブ-県15→道の駅 花の里いいじま-県15→柏木-伊那中部広域農道-伊那西部広域農道→中の原-国361(権兵衛トンネル)→神谷入口-国19→道の駅日義木曽駒高原-国19→木曽大橋-国361(九蔵峠展望台)→美女高原公園-飛騨農園街道→丹生川町坊方-国158(平湯トンネル)→平湯IC口-国471→奥飛騨温泉郷 栃尾温泉(宝山荘)

(二日目)

奥飛騨温泉郷 栃尾温泉(宝山荘)-国471→神岡町麻生野-神岡カントリーロード→神岡町山田-県75→中野-国472→稲葉-県90→道の駅 飛騨古川いぶし-県90(猪塵山トンネル)→清見町夏厩-国158→道の駅 桜の郷荘川-国158→ひるがの白山神社-やまびこロード(道の駅 白尾ふれあいパーク,道の駅 古今伝授の里大和)→下剣南-国158→東海北陸自動車道美並IC



ツーリングレポート(二日目)


 昨晩は美味い郷土料理を肴に楽しい酒を酌み交わし、ぐっすりと眠り心地よい朝をむかえることとなった。 早朝から源泉かけ流しの露天風呂に漂い、ゆったり流れる時の余韻に浸っていると、程なく朝食の時間となった。

 香ばしく焼け香る朴葉味噌、そしてコクのある卵かけご飯に香の物...予想していたことだが白飯をかき込むための飯の友が並び、還暦親父が若造の高齢者テーブルのお櫃はあっという間に空になる(笑)。 こんなところに暮らしたら大変なことになると言いながら、少なからずカロリー摂取量が気になる親父は二、三回目のお代わりを控えめに盛る。


栃尾温泉宝山荘の朝食、予想はしていたがホカホカご飯がススム、ススム


香ばしく焼け香る朴葉味噌、相当働かなければ糖質の過剰摂取となる(笑)


 そして、朝食を終えて思い々々に身支度を整えると、いよいよ全員そろって走り出す段取りとなった...っとその時、グローブを着けようとした左手の人差し指にあるはずの、Wolfman B.R.Sのシルバーリングが無いことに気付く晴れふら親父である(汗)。 事故らぬ験担ぎのため長く愛用してきたものだけに、先頭の先輩幹事に遅れて後を追う旨を伝えて、宿泊した部屋の捜索に舞い戻ることにした。

 ネガティブな思考を払拭するための験担ぎやルーティンにこだわりすぎると強迫性障害を発症しかねず、また弱みに付け込む宗教団体なんぞに身ぐるみはがされるのはよく聞く話である。 結果的に無くしたリングを探し出すことは叶わなかったが、原子番号47の金属を削り出したただのアクセサリーと溜飲を下げ、先輩達の後を追い走り出すことにした。

 かなり本隊から遅れて国道471に走り出すと、神通川と合流して富山湾に注ぐ高原川沿いの渓谷を下って行く。 早朝と言うこともあるが、北アルプスから流れ出して日本海に注ぐ清流沿いの景色はどこか寒々として、昨日の木曽山脈を貫けるルートのような春めいた景色にはまだ早いようである。 路面状態も良い文句なしの快走路だが、渓谷が新緑に覆われた季節のライディングはまた格別であろう。

 また沿道の神岡町には、ノーベル物理学賞を受賞したスーパーカミオカンデやニュートリノ研究を紹介する神岡ラボや、旧上岡鉄道廃線を利用したレール・バイクのアクティビティなどもあり、家族や友人達と再訪したいエリアでもある。


富山湾に注ぐ高原川の流れに沿って、春まだ早い国道471を下って行く


 とりあえず国道471に走り出したものの、先輩幹事の先導に繋がる気満々だったゆえ、本隊がたどったルート探しもおぼつかない。 ならばと、日頃はヒップバックにしまい込んでいるSYGN HOUSEのスマホ・ホルダーを取り出し、Google Mapナビに道案内を頼むことにした。 早速、休憩ポイントとして記憶に残る道の駅、飛騨古川いぶしへの経路を検索して走り出すと、国道471から神岡カントリーロードに分岐して山間の峠道へと駆け上がって行った。

 ちなみに、このSYGN HOUSEのマウント・システム、取付位置が限られる当時の愛車GSX-R1000のステムマウンが可能だったゆえに購入したものである。 現在でも色褪せぬ美しいアルミ削り出しの質感だが、兎に角スマホを装着しずらいので、それを機能美と呼ぶには無理があるかもしれぬ。 まあ、ツーリング仲間とはぐれて待ち合わせ場所への案内を頼むだけなら十分であろう(笑)。 


先導無き後追いに備えてSYGN HOUSEのスマホホルダーを装着


 さて入り口標識によると、神岡カントリーロードは神岡町麻生~山田を結ぶ神岡農免道路(全長7.9km)の愛称らしい。 いきなり幹線国道から農免道路に外れる後追いルートに不安を隠せぬが、Google Mapによると幹線国道471をショートカットして県道75経由で飛騨古川に貫けることができるようである。 特に景観が開けるわけでは無いが、緩やかな快走ワインディングを程々のペースで駆け抜ける。


道の駅飛騨古川いぶしを目指し神岡カントリーロード(神岡農免道路)に駆け上がる


 神岡カントリーロードを山田集落まで走り終え、さらに突き当った県道75を南下すると徐々に道沿いの家々はまばらになり、人気の無くなった山間を神原峠に向けて駆け上がって行く。 そして終には神原トンネルを貫けて、行く手の遥か先に冠雪をまとった白山連峰を望むこととなった。 木曽駒ケ岳、御嶽山、そして乗鞍岳を望みながら、伊那から木曽、そして奥飛騨へと巡ってきた旅も、いよいよ白山連峰を望み奥美濃に差しかかったことを知る。


県道75が神原トンネルを貫けると、行く手遥か先に冠雪を纏った白山連峰が繋がる


 その後、県道75を飛騨古川の街中まで下って国道472を繋ぎ、東海北陸自動車道飛騨清見IC方面に向かう県道90に分岐すると、再び山間へと駆け上がって行った。 唐突だが、今回のツーリングでは想定していなかった二つのアクシデントに見舞われた。

 まず第一は、前述したように、験担ぎのリングを無くして今朝の走り出しに出遅れたこと。 そして第二は、天敵のヒノキ花粉が舞いだしたのか、旅の途中で花粉症を発症したことである。 特にソロスタートとなった二日目は、くしゃみ鼻水まみれのライディングを強いられることになってしまった。 持参していたアレルギー薬の効果なく、まさに泣きっ面に蜂の二日目となってしまった。

 さて、緩やかなループ橋で県道90に駆け上がりGoogle Mapのナビゲーションに従い走り続けると、思惑通りにツーリング本隊が休憩する道の駅飛騨古川いぶしにたどりついた。 出遅れた詫びもそこそこに、鼻水まみれの顔を洗って走り出すための身支度を整えると、先輩幹事に先導されながらの再スタートとなった。 残念ながら、道の駅に湧く「いぶし銀名水」をもってしても、極悪ストーカ並みの花粉は洗い流せず。


緩やかなループ橋で県道90に駆け上がる、道の駅飛騨古川いぶしまでもう少し


 道の駅飛騨古川いぶしから県道90に走り出すと、程なく都道府県道のトンネルの中で日本一の長さを誇る猪塵山猪塵山(いぶしやま)トンネル(4,475m)を駆け貫け、東海北陸自動車道飛騨清見IC近くで国道158に突き当たった。

 丁度この週末は高山祭の真っ最中、これで思惑通りに観光客で混雑する高山市街を北回りのルートで迂回し、奥美濃を南下する国道158に合流したことになる。 国道158に合流した後には、東海北陸道高架と交差しながら郡上八幡方面へと南下を続け、荘川IC近くにある道の駅桜の郷荘川で小休止することとなった。


国道158は東海北陸道高架と交差しながら郡上八幡方面へと南下する


 ここまで国道158の沿道の春はまだ遠く、道の駅桜の郷荘川の周辺に植えられた桜並木も本格的な開花はまだ先のようだった。 しかし、ここからさらに郡上八幡方面へ南下しながら標高を下げて行くと、徐々に桜咲く春景色が広がってくることだろう。 季節の変わり目に、高低差や南北移動を伴うツーリングルートをたどると、季節の移り変わりを行程中に疑似体験できる。 これも、四季の国日本ゆえのバイク旅の楽しみ方であろう。


道の駅桜の郷荘川が左手に見えてきた、道の駅周辺の桜の盛りはまだ先


 さて道の駅桜の郷にたどりつくも、咲ききらぬ「花」にかまう間も無く、花粉症を患う己の「鼻」をかむので精いっぱいの晴れふら親父であった。 そして、トイレ休憩を終えてもどってくるメンバーが手に手に売店で購入した土産を持っていることに気付いた...。

 早速その土産の正体を聴くと、宿泊した宝山荘でお茶うけに供されていた「とちの実せんべえ」を購入したとのことであった。 プライミング効果やら損失回避行動の衝動に駆られた花粉症親父は、止まぬくしゃみで鼻水まみれになりながら売店に走り、飛騨高山で味噌屋を商う糀谷柴田が販売する大鳳堂「とちの実せんべえ」710円也を購入した。 ほんのり甘く、香ばしい栃の実の香りをまとう一品、飛騨地方の定番中の定番土産を仕入れることとなった。


道の駅桜の郷荘川で飛騨土産の定番、とちの実せんべえ710円也をしいれた


  失せモノや花粉症で出遅れっぱなしの晴れふら親父だが、手早く購入したとちの実せんべいをバックに詰めて遅れぬように走り出す。 その後、さらに国道158を郡上八幡方面に向けて走りひるがの高原に差し掛かったところで、ひるがの高原から郡上大和までの約37kmをシームレスに南下するやまびこロードへと分岐した。

 国道158からやまびこロードに分岐した当初は、ひるがの高原越しにに白山連邦最南端に位置する大日岳を望む緩やかな高原道路となるが、その後は点在するゴルフ場、別荘地、スキー場をつなぐ走り応えのある峠道となる。 夏場の避暑や冬場のスキーリゾートエリアゆえに、まだまだ本格的な春の訪れは先のようである。

白山連峰の最南端大日岳(1,709m)を右手に望みやまびこロードに走り出す


走りだしの緩やかな高原道路を過ぎ、さらに別荘地をつなぐ峠道を南下する


 やまびこロードが紅葉湖畔を過ぎ阿多岐ダムから駆け降りてくると、山間の冬枯れの景色は徐々に春めいた里の景色になってくる。 そして目に留まった、道の駅白尾ふれあいパークに立ち寄り早めの昼食をとることとなった。 先輩幹事の機転により、当初昼食予定だった道の駅古今伝授の里大和の混雑を予測し、早めの昼食となった次第である。 兎にも角にも、くしゃみ鼻水がどうにも収まらぬ親父にとって休憩はありがたい、昼飯と一緒にアレルギー薬を追加服用して旅を仕切り直したいところである。


道の駅 古今伝授の里大和の混雑を避け、道の駅 白尾ふれあいパークで早めの昼食  


 早速、駐車場にオートバイを停めてヘルメットを脱ぐと、ポケットティッシュで思い切り鼻をかみ、アルコールティッシュで洗浄した顔面をマスクで覆い、ふらふらと皆の後を追って喫茶「チェリー」に落ち着いた...正しくは、くしゃみが停まらず落ち着けず(泣)。

 さて、地元六ノ里の棚田米(コシヒカリ)を使ったお食事がウリの喫茶「チェリー」、昭和親父の記憶に残る懐かしい喫茶店にタイムスリップしたような店である。 施設はそれなりに新しく、取立てて懐古趣味の店を狙っている風でも無いのだが、屋号から雰囲気まで晴れふら親父が青春時代を過ごした喫茶店の記憶が呼び覚まされる。

 そして注文したのは鶏ちゃん定食は珈琲付で1,300円也、今回の道の駅めぐりでは初心に戻り地元定番のB級グルメを食らう旨決めていたのだが...配膳されたボリュームある定食に、忘れていた朝飯のお代わり合戦を思い出すが(笑)、勢いに任せて何とか完食することとなった。 


喫茶チェリーの鶏ちゃん定食(珈琲付)1,300円也、昭和にタイムスリップ


 さて、思い思いの昼食を終えて集合すると、皆で帰還ルートを確認する段取りなった。

 そして、抗アレルギー剤を追加服用するもくしゃみ鼻水が収まる気配を見せぬ晴れふら親父は、やまびこロードを郡上大和まで走りきった国道158で給油を済ませ、東海北陸自動車道に乗って名古屋方面に単独帰還する旨伝えることとなった。

 今回の旅は、初心に戻ってマスツーリングを満喫すると宣言していたのだが...結果的には、初日の最後は給油をきっかけに独り峠へ飛び出し、二日目の朝の走り出しでは験担ぎのリングを無くして出遅れ、そして最後には収まらぬ花粉症で早々に離脱することになってしまった次第である(泣)。

 でも、まあ、神々しく冠雪を纏った木曽駒ケ岳、御嶽山、乗鞍岳、そして白山連邦を眺めながら共に走り、道中の道の駅に立ち寄りながら共に地元飯を食らい、そして飛騨温泉郷の郷土料理で共に酒を酌み交わし、思い出に残るマスツーリングを十分満喫できたと思う。 そして何よりも、先輩幹事の旅の企画力と途中合流や離脱を可能にする段取りの良さに、改めて感心させられる旅となった。

 

 そして今回の先輩OB達との旅で、仕事やバイクに足掻き続ける晴れふら親父はどんな気付きや刺激を得たのか...。

 振り返ってみると、2004年に初参加してから自分の父親と同い年の大先輩に出会い、かつて没頭し世に送り出した仕事の思い出を昨日のことのように語り、時を経ても自信とプライドが漂うその物腰に自分もそうありたいと思った。

 そのフランクルの創造価値、体験価値、そして態度価値を実践する生き様は、もちろんオートバイとのかかわり方にも表れ、周りをうかがい引き際や降り時の線を引こうとしていた己を情けなく思った。 仕事や趣味に関わらず、自らの動機が絶えぬうちは続けることにこだわり、毅然と貫き続けたいと思った。 幸いにも齢を取ると乗るより先に取りまわせなくなるオートバイは、杖を突いても座れば乗れる四輪に比べ、誤操作で他人を傷つけるリスクは少ないかもしれぬ。

 それから20年が過ぎ、背中をみつづけてきた父親と同じ年の先輩も亡くなたが、ガン宣告とともに迎えた定年後に仕事に向き合うことを決めた信州への旅、世の流れを感じZX-6Rからの乗り換えを思い立った南紀への旅等々、走り続けながら相変わらず刺激を受け続けている。

 そして今回の奥飛騨温泉郷へのツーリングでは、これまでとは少し違った余韻とともに旅を終えることとなった。 それは、旅を共にしたツーリングメンバーによるものでは無く、昨年末に父親を亡くした己の心持の方が変わったのかもしれないが、このレポートを書きながらも諸行無常の世の中をあらためて強く感じている次第である。 いつかは終わりが来ることは分かっているが、それを自然体で受け入れられるようになるには、まだ少し時間がかかりそうである。


(あとがき)


 宿を発つ前に、あれだけ探して見つからなかったWolfman B.R.Sのシルバーリングが、帰宅後数日たったメッセンジャーバックのポケットから不意に転がり落ちた。 レポート中で、ネガティブな思考を払拭するために”モノ”に頼りすぎるのは良くないと書いた気がする。 しかし、無事に帰る験担ぎに長年愛用していたリングだったので、単なる”モノ”が見つかった以上にうれしかったのが正直なところである。

 これからは、旅先で一つくらい失くしても困らぬように、験担ぎのアイテムを増やそうかとも思う(笑)。 しかし今回は、そこにしまった記憶が全くないことの方が気がかりである。 闇雲にご利益のお供を増やすよりも、ボケ封じのお札を探し帯同した方が良いのかもしれぬ。 何とも、還暦バイク親父のツーリングレポートらしい締めくくりになった(笑)。



ツーリング情報


道の駅 飛騨古川いぶし  岐阜県飛騨市古川町畦畑2173-1 (電話)0577-73-3936


道の駅 桜の郷荘川  岐阜県高山市荘川町猿丸88 (電話)05769-2-1030


道の駅 白尾ふれあいパーク  郡上市白鳥町恩地11-1 (電話)0575-84-1188


道の駅 古今伝授の里大和  岐阜県郡上市大和町剣164番地 (電話)0575-88-2525



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