2023/08/28 岩屋ダムから酷道経由板取川の絶品鮎(徳兵衛茶屋、うだつの上がる町並み、茶房とみや)

 近頃は夏の猛暑も幾分やわらぎ、街中でも秋の気配を感じるようになってきた。 すると、九州を流れる筑後川流域の田舎町で生まれ育った親父の思考は、「今年の夏もおわりだなぁ」から、「今年の鮎もおわりだなぁ」というお決まりの流れとなる。

 そして、「そういえば、コロナ禍以前に度々訪れていた、長良川の支流板取川の徳兵衛茶屋は元気に営業しているのだろうか?」っと気になりだすと居ても立ってもいられず。 今回久しぶりに、徳兵衛茶屋を目指して走り出すことになった次第である。 昭和の雰囲気が残る素朴な店を好んで訪れるせいだろうか、残念なことに、コロナ禍前に通っていた店が閉店してしまっていることも少なくないのである。

 またその往路では、飛騨川の支流馬瀬川沿いを遡る県道86で、岩屋ダムからせせらぎ街道へと駆け降りるルートを織り込むことにした。 せせらぎ街道に合流後は、郡上市街を貫けて長良川沿いを下り、タラガトンネルで板取川へと抜ける算段である。

 ちなみに、この県道86で岩屋ダムからせせらぎ街道へ駆け降りるルートは、十年以上前に一度たどったことのあるルートである。 馬瀬川上流の岩屋ダム湖岸から分岐する弓掛川沿いを遡り、小川峠を越えてせせらぎ街道へと駆け降りるこのルート、あまりの酷道ぶりに足が遠のいていた行程である。

 しかし先日、こもれびロードで和良からせせらぎ街道にぬけるルートをたどった折、道沿いに岩屋ダム方面から貫けてきた真新しいめいほうトンネルを見かけ、小川峠越えの酷道をバイパスできるのではないかと気になっていた。 試しにネットで検索すると、「半世紀の悲願!めいほうトンネル開通 小川峠を迂回」という2021年の地方ニュースを見つけ、いよいよ走り出さずにいられなくなった次第である。

 はたしてかつての酷道県道86は、岩屋ダムからせせらぎ街道へ貫ける快走ツーリングルートに生まれ変わったのか? その真偽のほどを、久しぶりに訪れた徳兵衛茶屋の絶品鮎料理と共にレポートさせていただきたい。


岩屋ダムが堰き止めた東仙峡金山湖、明宝トンネルを貫けせせらぎ街道を目指す



ルート概要


東海環状道豊田松平IC-国301→松平橋-県39→追分-国153→新盛-県19→小渡-県11→新町-国363→山岡-国418→道の駅 そばの郷らっせいみさと-国418→武並橋(笠置峡)-県412→河合-県68(中野方峠)→白川口-国41→下妙見町-県86岩屋ダム県86馬瀬大橋県86明宝トンネル-県329→明宝郵便局-国472(せせらぎ街道)→城南-国156→相生-国256→タラガトンネルー国256(徳兵衛茶屋)→関市洞戸事務所前-県81→曽大-国156→うだつの上がる町並み(茶房とみや)-国156→東海北陸自動車道美濃IC


ツーリングレポート


 旅の始まり、東海環状道豊田松平ICから国道301に駆け降りると、矢作川支流巴川沿いを遡る県道39で足助へと走り継ぐ。 暗い竹林越しに覗くしっとりとした渓谷の流れから、明るく開放感のある緩やかな流れへと変わり、ツーリングの始まりに日常のシガラミを剝がして行くような気持ちになれるルートである。

 今回の往路ではまず、西三河(豊田市)から東美濃(恵那市)、中美濃(加茂郡白川町)、そして南飛騨(下呂市)の岩屋ダムへと真っすぐに北上するルートをたどる。 その後、郡上市から関市へと中美濃内を西へ移動し、板取川沿いの徳兵衛茶屋にたどり着く予定だ。 また、矢作川、木曽川、飛騨川、長良川、そして板取川へと、いくつもの分水嶺を越えるため、走りごたえのある峠道には事欠かないだろう。

 さて、足助から国道153の北上を開始してしばらく走ると、県道19に分岐して矢作川沿いの小渡にたどり着いた。 その後、さらに矢作川に注ぐ明智川沿いを遡る県道11へと走り継ぎ、西三河(豊田市)から東美濃(恵那市)への国境を越えてさらに北上を続けた。 明智川は川沿いを縁取る紅葉の名所だが、紅葉並木の色づきにはもうしばらく時間がかかりそうである。 川の流れに沿って適度に弧を描く県道11は、これから峠越えが連続する往路の足慣らしに丁度良い。


県道11で豊田から恵那への市境を越え、明智川沿いのワインディングで足慣らし


 県道11が明智町市街地に差し掛かると、国道363、さらに国道418へと分岐して、木曽川笠置峡に向けて下って行く。 通行車両も皆無の快走路、集落付近のペースを抑えながらも、走りごたえのあるダウンヒルに差し掛かると、W800streetの脆弱な部分が顔を出す。

 ニュートラルな前後荷重を意識しながら旋回速度を上げて行くと...リアサスが路面の凹凸を拾って頼りなく揺れ出すのである。 まるで筋斗雲にでも乗ったかのような気分だが、飛行機能の無い相棒と一緒に飛ぶ羽目にならぬよう右手を加減する。 もう少し、リアサスの減衰力が欲しくなるところだが、そもそも、なぜWなのかって己への問いが頭の中で回りだす。 悩ましいところである。

 何に乗っても悩みは尽きぬ煩悩親父だが、気分転換に、道の駅らっせいみさとに立ち寄りトイレ休憩と水分補給を済ませることにした。 日中の混雑には閉口するが早朝の利用客は意外に少なく、冷たい缶コーヒーを傍らに心地よくクールダウンできる。 そして、道の駅から国道418に復帰すると、JR中央本線、国道19、中央道高架を潜ってさらに北上をつづけ、木曽川笠置峡にむけてのダウンヒルを下って行った。

 そして、国道418で木曽川を渡り県道68に分岐すると、木曽川へ注ぐ中野方川に沿って上流へと遡って行った。 その後中野方峠で、東美濃(恵那市)から中美濃(加茂郡白川町)への国境を越えると同時に、木曽川から飛騨川への分水嶺を越えて、飛騨川に注ぐ赤川沿いを下って行行く。 県道68は、里を抜ける緩やかな快走路から峠越えの九十九折れまで、変化に富んだワインディングを満喫できるお薦めルートである。


中野方川沿いを駆け上がる県道68 中野方峠で分水嶺を越え赤川沿いを下る


 県道68が白川口で飛騨川沿いの国道41に突き当たると、高山方面へと舵をきって北上を続けた。 その後しばらく、高山本線と並走しながら飛騨川沿いを走ると、道なりに中美濃(加茂郡白川町)から南飛騨(下呂市)への国境を越える。 そしていよいよ、飛騨金山に差し掛かったところで、今回の旅の目的である県道86への分岐に差し掛かった。 

 さて、飛騨川沿いを走る国道41から県道86に分岐してからは、同じく飛騨川から分岐した馬瀬川沿いを上流へと遡り、今回の旅のランドマーク岩屋ダムにたどりついた。 1976年に完成した岩屋ダムは、高さ127.5mの多目的ロックフィルダムで、ダムが堰き止めた東仙峡金山湖は飛騨川流域最大の人造湖とのことである。


県道86で馬瀬川沿いを遡った岩屋ダム、高さ127.5mの多目的ロックフィルダム


 広大な東仙峡金山湖の湖岸は複雑に入り組み、その湖岸をトレースする県道86はタイトな切り返しとなる。 ブラインドコーナーも多く、コーナー奥でキレの良い向き変えと、リアタイヤで曲げて行くライディングを試しながら時を忘れて走る。 重たいフライホイールを失速させぬよう、できるだけ緩やかなラインでエンジン回転数を維持する...がっ、なかなかか難しい...がっ、だから楽しい(笑)。

 この巨大なダム湖岸をトレースする走りごたえのあるワインディングが、わざわざ酷道を挟んでまで県道86をツーリングルートに組み込みたいと思った理由である。


東仙峡金山湖の複雑な湖岸に沿って、タイトな切り返しが連続する


 その後さらにダム湖上流へと遡ると、県道86は馬瀬川大橋でダム湖対岸へと渡り、分岐した弓掛川沿いをさらに遡っていく。 上流へと遡るにつれて弓掛川は渓流の様を呈して来るが、川沿いをトレースする県道86はライディングを楽しむに十分な幅員があり、このままめいほうトンネルを貫けて快適にせせらぎ街道へと駆け降りることができると高を括っていた...この時までは(汗)


県道86は馬瀬大橋を渡り、弓掛川沿いを遡ってめいほうトンネルを目指す


 しかし現実はそんなに甘くなく、県道86が南飛騨(下呂市)から中美濃(郡上市)への国境に差し掛かると、それまで対向二車線のワインディングは離合も間々ならぬ酷道へと姿を変える。 岩屋ダム湖岸のワインディングを快適に走り継いでめいほうトンネルを貫け、せせらぎ街道へ駆け降りる目論見はここで崩れ去ることとなった(泣)

 せめてもの救いは上り下りの傾斜が殆ど無いことで、スリッピーな路面を避けたライン取りを考えれば、無難にやり過ごすことが出来そうである。 引き換えしてリカバーするには、岩屋ダムからさらに馬瀬川を遡り、国道257経由でせせらぎ街道に合流するルートがある。 しかし、かなりの遠回りとなり、徳兵衛茶屋の営業時間中にたどり着くのも怪しくなるため、腹をくくって酷道の先へと走り続けることにした。


県道86が南飛騨(下呂市)と中美濃(郡上市)の国境に差し掛かるとごらんの酷道に(泣)


 先の見えぬ酷道を辛抱強く走り続けると、県道86が郡上市明宝小川の集落に差し掛かったところで急に見通しが開け、対向二車線で緩やかな里を抜ける快走路となった。 そのまま2021年に開通した全長約1.6kmのめいほうトンネルを貫け、合流したこもれびロード(県道329 )でせせらぎ街道へと駆け降りることとなった。

 結果的に、めいほうトンネルにより往年の難所小川峠を迂回できるようになったのは事実であった。 誤算だったのは、南飛騨(下呂市)から中美濃(郡上市)への国境が、未整備の酷道のままだったということ。 冒頭で紹介した地方新聞ニュースにある「半世紀の悲願...」が叶ったのは、中美濃(郡上市)の地域交流に取り残されていた、明宝小川集落に暮らす人達だったわけである。 実際のところ、わざわざ岩屋ダムのクネクネ道を遡って明宝に貫るのは、ツーリングルートの開拓に余念がないバイク親父ぐらいかもしれぬ。

 そして今回の旅でバイク親父が学んだルーティングは...もし、せせらぎ街道を飛騨高山方面へ向かうならば、岩屋ダムからさらに県道431で馬瀬川沿いを北上し、国道257を経由するのが良いかもしれぬ。 一方、せせらぎ街道で郡上八幡方面へ向かうならば、国道256経由で和良から北上するこもれびロードを利用するのが無難、ってことである。

 あっ、それから、日和った親父のルーティングには満足できぬ方々には、第三の選択肢、今回たどった岩屋ダムから酷道を介してめいほうトンネルを貫けるルートもアリかも知れぬ(笑)。


2021年に開通しためいほうトンネル、明宝小川集落からこもれびロードに貫ける


めいほうトンネルで小川峠を迂回、こもれびロードでせせらぎ街道へと駆け降りる


 さて、めいほうトンネルを貫けてせせらぎ街道に駆け降りると、板取川沿いの徳兵衛茶屋をめざし郡上八幡方面へと走り出した。 郡上市街に向けて徐々に交通量は増えてくるが、長良川に注ぐ吉田川の流れを傍らに眺めながら快走し、長良川沿いを走る国道156に合流した。

 そして、国道156を長良川下流へと走り出して程なく、国道256へと分岐する法伝橋を渡り板取川を目指した。 集落を繋ぎながら広狭混在する国道256をたどると、2007年に完成したタラガトンネルで長良川から板取川への分水嶺を貫けることができる。 全国二位の長さ4,571mを誇るトンネルは、真夏でも涼しいを通り越して凍える寒さ、そしてトンネル内を流れる湧き水で愛車はドロドロになる(泣)。

 

国道256で那比川沿いを遡り、板取川沿いへ貫けるタラガトンネルを目指す


 さて、メッシュジャケット越しの風に凍えながらタラガトンネルを貫けると、そのままふれあい大橋で板取川を渡り、対岸の国道256を流れに沿って下って行く。 お約束通り相棒のW800streetは、タラガトンネルの濡れた路面でドロドロになるが、相棒にはツーリング後の洗車を約束して走り続けてもらう。

 そしていよいよ、板取川の清流を見下ろしながら走り続けると、程なく木々に覆われた徳兵衛茶屋にたどり着いた。


国道256で板取川沿いを下る、目指す徳兵衛茶屋はもう直ぐだ


 2005年にツーリングの道中でふらっと立ち寄った徳兵衛茶屋、それ以来毎年のように、鮎の季節になるとこの店を目指して走り出すことになった。 今回はコロナ禍を挟んで久しぶりの来店となったが、親父の記憶と何も変わらぬ渋い店構え。 しいて変わった事と言えば、コロナ禍を乗り切った痕跡の消毒用アルコールと、行列ができる人気店になった証の席待ち名簿が、入り口脇に置かれていたことくらいだろうか。 今回は、昼時を大幅に過ぎた来店になったことが功を奏し、一席だけ空いていた板取川を見下ろすカウンター席に、待ち時間なしで案内されることとなった。


コロナ禍を経て久しぶりに訪れた徳兵衛茶屋、変わらぬ店構えに迎えられる


 席に落ち着くと早速、定番の鮎の塩焼き定食1,850円也を注文した。 店内はまだ配膳待ちの客も多く鮎の焼き上がりに時間がかかるとのことなので、とりあえずの、ノンアルコールビールとあじめどじょうのから揚げ650円也を追加注文した。

 様々な理由で値上げがまかり通るご時世、通いだした頃の値段から50円程度しかかわらぬリーズナブルな価格に驚かされる。 それを変わらぬ品質で続けられる理由は、複雑な流通を挟まぬ地産地消と店主の確かな目利きの証であろう。

 注文を終えて程なく、とりあえずのあじめどじょうと冷たいノンアルコールビールが配膳された。 高級な珍味というよりも子供の頃の懐かしい味、それをキンと冷えたビールもどき飲料で流し込む。 まさに、no motorcycle no life! 何十年も、何年も、何時間も、何分も、何秒も、乗り続けていなければこの瞬間に、しよっぱく深いこの味にたどり着けない。


あじめどじょうのから揚げとノンアルビールで鮎の焼き上がりを待つ


 その後先客たちへの配膳も進み、注文した鮎の塩焼き定食が運ばれてきた。 清流板取川とその恵みの膳のツーショット、何とも贅沢な絵面である。

 その膳に乗るのは、こんがり、ふっくらと焼き上げられ、板取川の香りを纏った二尾の鮎塩焼き、かたわらに川魚佃煮とキャラ蕗が添えられているのが心憎い。 そして、ご飯、漬物、赤だし、山菜小鉢、フルーツ。 いずれも料理人の気遣いとセンスが、バランスよく配されている。 完璧な定食、何も足さず何も引かず、只々商売を続けてほしいものである。

板取川の清流を見下ろすカウンター、お目当ての鮎の塩焼き定食が配膳された


こんがり、ふっくらと焼き上げられた板取川の鮎、添えられたキャラ蕗と川魚佃煮がうれしい


 久しぶりに徳兵衛茶屋の川魚料理を堪能すると、板取川沿いを下る国道256から県道81へと走り継ぎ帰路に着くことにした。 板取川が長良川に注ぐと同時に、県道81は長良川沿いの国道156に合流するので、その後美濃市街を貫けた東海北陸自動車道美濃ICから名古屋方面へと帰路に着く段取りである。

 しかしその道中、燃料残量警告灯が点滅しだした相棒に給油していると、徳兵衛茶屋からの帰路で立ち寄っていた甘味処のことを思い出した。 その甘味処が店を構えるうだつの上がる町並みは目と鼻の先、給油を終えて支払いを済ませる頃には、江戸末期の古民家で甘味処を商う「茶房とみや」に立ち寄ることを決めていた。

 ところで、「うだつ」ってのは屋根の両端を高くした防火壁のことで、高価なうだつを上げられるのは金持ちの証ってことだったらしい。 それに由来して、様々なパッとしない状況を「うだつが上がらない」と言われるようになったのだが、今時そんなディスられ方をするのはうだつが上がらぬ親父ぐらいかもしれない(笑)。

 早速、ガソリンスタンドからほど近いうだつの上がる町並みを訪れると直ぐに、江戸時代の商家が立ち並ぶ町並みにお目当ての甘味処「茶房とみや」を見つけた。 和菓子屋が営む甘味処らしく、素材を活かした手作りの甘味はなんともやさしく、素朴な味わいがある。




うだつの上がる町並みで商う「茶房とみや」、素材を活かした手作り甘味


 この季節、親父の注文は一択の、「わらび氷」750円也。 金時が仕込まれたかき氷が大ぶりのわらび餅をまとい、たっぷりの黒糖みつときな粉がまぶされた一品は、昭和親父の琴線にふれる甘味が勢揃いした一品なのである。 突然の思い付きで立ち寄った茶房とみやだったが、夏の美味いものをめぐるツーリングの締めくくりとしては申し分ない甘味であった。

 茶房とみやを後にすると、うだつの上がる町並みの路地を抜けて国道156に駆け出し、予定通り東海北陸自動車道美濃ICから名古屋方面へと帰路に着くことにした。 うだつの上がる町並みの散策をはじめ、昭和な展示が懐かしい旧名鉄美濃駅舎など、いくつかの立ち寄り場所が浮かんでくるが、今回の旅で味わった美味しい夏の余韻が消えぬうちに日常に舞い戻ることにした。


注文は一択の「わらび氷」、金時・わらび餅・黒糖みつ・きな粉を贅沢にまとう


 土地々々の美味いものや、走りごたえのある峠道は、バイク旅へと走り出す動機づけになる。 そして今回も走り出した目的は、板取川の鮎を供する徳兵衛茶屋と、岩屋ダムのワインディングからせせらぎ街道へと貫ける県道86であった。

 思い返せば、清流板取川を見下ろす徳兵衛茶屋を初めて訪れたのは2005年、当時はお客さんもまばらで、ゆっくりとした時間が流れるまさに茶店だった。 しかし世間が、板取川の旬の素材で創られる絶品の川魚料理を放っておく筈もなく、いまやメディア取材を受け席待ちが出来る人気店になっていた。

 以前の隠れ家的な雰囲気が良かった...などと言うのは客の傲慢、コロナ禍で癒されていた店が閉じる幾つもの事態を目の当たりにすると、当時と変わらぬ絶品料理をリーズナブルな価格で提供し続けてくれていることに感謝するばかり。 能天気に何気なく再訪し、そこにあるはずの応援したくなる店が無くなってると、その時の喪失感は言葉で言い表せない。

 とは言っても、日常の慌ただしさから一時避難するバイク親父ゆえ、旅先での混雑はさけたいところである。 これからも昭和の風情が残る素朴な店を探し峠を駆けるのはもちろん、繁盛店に生まれ変わった店があれば、道中の峠道で時間調整して混雑を避けながら通い続けたいものである。

 また、もう一つの旅の目的は、岩屋ダムからせせらぎ街道へとぬける県道86が、難所を迂回できる快走ルートに生まれ変わったか否かの確認であった。 そして実際に、2021年に完成しためいほうトンネルで、明宝小川集落から明宝畑佐集落がつながり、小川峠越えの難所が迂回できるようになっていた。

 しかし、岩屋ダムがある南飛騨(下呂市)と中美濃(郡上市)の国境が昼なお暗い酷道のままで、一見バイク親父の思惑通りには行かぬ結果となった。 客観的に考えれば、そこに暮らしている人達にとっては、同じ行政区内で繋がることが第一で、隣国のダムを周回する峠道と繋がる必要がないのは当然のことかもしれぬ。

 今回の旅の結果を踏まえたツーリングルートに関しては、レポート中で紹介したので参考になれば幸いである。 そして、実際に現場を訪れなければわからぬことがあるものだと、改めて感じた次第である。 それが、クド過ぎる文字だらけのレポートで、細か過ぎる行程を紹介し続けている理由でもある(笑)。 手軽なSNSや動画全盛のこの時代、間違いなくニッチに分類されるバイク親父の旅レポであるが、共感に数には関係ないと思いたいところである。



ツーリング情報


徳兵衛茶屋  関市板取5822-1 (電話)0581-57-2440


茶房 とみや  岐阜県美濃市泉町1887 (電話)0575-33-4827




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