2022/10/01 タイヤ交換髭剃りツーリング、東美濃親父飯街道をたどる(みくに茶屋、あきん亭、ますや萬有、鳥兵、かんから屋、あまから)
前回の信州ツーリング以降ライディングから遠ざかって約3か月、多忙だった仕事もプライベートもようやく落ち着きを取り戻し、久しぶりのツーリングへと走りだすことにした。 期せずして今回は、猛暑日続きの夏をやり過ごした形となり、メッシュジャケットからレザージャケットへの衣替えツーリングとなった。
ご存知の通り、収まりを見せぬコロナ渦や不安定な国際情勢、歯止めの効かぬ円安で値上げラッシュの世の中である。 値上げ前のタイヤの売り込みに急かされたバイク親父は、午前中に摩耗が気になっていたタイヤを交換し、午後には新品タイヤの慣らしを終えるという慌ただしい一日を段どった次第である。
そしてたどったルートは、東海環状道せと品野インターを起点に、国道363を雨沢峠へと駆け上がって岩村方面へ走り、根の上高原から岩村を経由して瀬戸方面へと折り返す行程である。 走り出しの雨沢峠の駆け上がりや、旅を折り返した根の上高原のタイトな駆け上がりでは、タイヤエッジまで接地させて髭をそる目論見である。 また、瀬戸~岩村間を繋ぐ国道363や県道66は、緩やかなコーナーが続く流れの良い快走路である。 混雑する街中は農道に迂回しながら徐々にトラクションをかけてゆき、常用域のバンク角で念入りに皮を剥いてやることにする。
これまでも何度も駆け巡ってきた東美濃ワインディング、それゆえその道中ではバイク親父の食欲を刺激する美味いものが沢山ある。 しかし今回は、タイヤ交換と慣らしを手早く済ませてしまう忙しない旅である。 残念ながら、行程に合う美味い店に立ち寄ることは叶わなかったが、ツーリングレポートの番外編として、旅の記憶に残るルート沿いの美味いものを紹介させていただくことにする。
根の上高原へ駆け上がる県道413、シロヤシオ渓谷に流れる沢
ルート概要
東海環状道せと品野IC-国363(雨沢峠、みくに茶屋)→細野-県69(肥田川)→堀越-県66(あきん亭、ますや萬有)→佐々良木橋東-国418→道の駅らっせいみさと手前-東美濃ふれあい街道→大門-県407→小野川-県413(シロヤシオ渓谷)→根の上高原(別荘地)-国363→岩村城下町(鳥兵、かんから屋、あまから)→裏山-国418(岩村警部交番)-市道-惠南ささゆり街道(山岡市街を迂回)→山岡町上手向-国363→明智町野志-農免道路(明智市街を迂回)→明智町太田-国363→東海環状道せと品野IC
ツーリングレポート
東海環状道せと品野ICから国道363に降りると、土岐方面へ走り出して直ぐに雨沢峠への駆け上がりが始まる。 日頃は決して好きになれぬヘアピンカーブの連続だが、この時ばかりは、低速域でタイヤエッジまで倒しこめる九十九折れが重宝する。 前のめりのSSには不似合いなリーンアウトを意識しながら、急なアクセルワークを避けながら相棒を寝かせてゆく。
国道363で雨沢峠へ駆け上がる、九十九折れで新品タイヤの髭剃り
走りだしのタイトな九十九折れを上りきると、瀬戸から土岐への市境とともに雨沢峠を越えて緩やかな快走路となる。 今回新調したZX-6Rに純正採用されたブリヂストンS22は、フロント3LC、リヤ5LCマルチコンパウンド構造を持っている。 まずは、タイトな駆け上がりでショルダーコンパウンドまで接地させ、その後の快走路で、徐々に荷重を増やしながら常用域のトラクションコンパウンドを揉んでやるイメージでルートを繋ぐ。
さて、雨沢峠を過ぎてさらに国道363を走り続けると、程なく駄知方面へ抜ける県道69に分岐した。 肥田川沿いの渓谷を走るワインディングで、ライディングにメリハリをつけてタイヤを揉んでやることにする。 路側の楓や渓谷の山肌の色づきが季節の移り変わりを感じさせてくれるルート、しばらく乗れぬ間に猛烈な夏の日差しは和らいだが、本格的な東濃の秋の装いはまだまだこれから。
肥田川沿いの渓谷を走る県道69、路側の紅葉が色づくにはまだ早い
県道69が駄知にたどりつくと街中を抜けて県道66に合流し、土岐から恵那への市境を越えてさらに西へと走り続けた。 東美濃を東西に結ぶ現代の中山道国道19、その混雑する幹線国道の迂回路県道66の流れは速い。 国道363と同様に、常用域のコンパウンドに荷重をかけてゆくには最適のルートである。
東美濃を繋ぐ県道66、幹線国道19の迂回ルートの流れは速い
県道66も恵那市街に差し掛かってくると、徐々に交通量が増え流れがわるくなってくる。 慣らし運転のペースを維持するために、道の駅「そばの郷らっせいみさと」の裏手から、東美濃ふれあい街道へと迂回することにした。 そして思惑通り、恵那市街を遠く見下ろしながら、東美濃の里を繋ぐ農道をペース良く走り続ける。
恵那市街が近づき交通量が増える県道66、東美濃ふれあい街道へと迂回する
東美濃ふれあい街道を道なりに走り続けると、恵那市街へ向かう国道257と交差し、明智鉄道沿いを走る県道407に突き当たる。 そして、県道407を岩村方面へと走り出して程なく、明智鉄道橋梁をくぐり根の上高原へと続く県道413へと分岐した。 いよいよ慣らし運転の仕上げ、根の上高原に向けて落差のある九十九折れを駆け上がって行く。
走り出しの雨沢峠への駆け上がり同様、リーンアウトを意識しながらタイヤのエッジまで接地させて髭剃りの仕上げにかかる。 腕に覚えのないバイク親父は、慣らし運転を口実に苦手なヘアピンを程々にやり過ごす。 いや、無理に気張ってジタバタするよりも、肩の力を抜いた慣らし運転の方が速いかもしれぬ(笑)。
ところで今回、本格的な九十九折れが始まる手前で、シロヤシオ渓谷から流れ落ちる沢を見つけた。 これまで、苦手なヘアピンで一杯々々のせいか、その存在に気付くことはなかったのだが、肩の力を抜いたライディングで見えていなかった景色に気付いたわけである。
まだまだ峠道を覆う緑は青々としているが、冷たい沢の流れには駆け足で通り過ぎる秋の気配が漂っていた。 地球温暖化のご時世、忙しない暮らしなりに感受性を高めてゆかねば、これからの季節の変わり目を感じるのは難しいかもしれぬ。
恵那市街から根の上高原へ、県道413の超タイトな駆け上がり
さて、胞山県立自然公園の一部根の上高原は、恵那市と中津川市にまたがる標高900mの高原で、根の上湖、保古の湖の周りにキャップ場や別荘地などが点在している。 県道413で根の上高原まで上りきって鉾の湖湖畔を走り、別荘地を抜けて岩村方面へ折り返す国道363に突き当たった。
ここまで、タイヤ交換した名古屋から約100kmの往路、新調したS22の髭剃りは予定通り仕上がり、復路では久しぶりに乗ったバイク父の慣らし運転に興じることにする(笑)。 早速、国道363を右折して岩村方面へ旅を折り返すことにした。 ちなみに、左折して中津川市街へと駆け降りるルートは工事通行止め、ツーリングを予定されている方は事前のルート確認をお薦めする。
そしてまずは、岩村にむけて”農村景観日本一”を謳う景色の中を、タイヤのことを忘れてゆったりとクルージングする。 前のめりに走っても楽しめるワインディングだが、親父のライディングが一皮むけるにはまだまだ慣らしが足りず(笑)。 途中には、農村景観日本一の展望所もあり、己の足腰を慣らしたい方々は是非上っていただきたい。
根の上高原から国道363への折り返し、”農村景観日本一”エリアを駆け抜ける
その後国道363が国道257に突き当たると、休憩を兼ねて岩村城跡に立ち寄ってみることにした。 日本一を誇る標高717mの城山に建てられた岩村城は、奈良県の高取城、岡山県の松山城と並び日本三大山城の一つに数えられている。
岩村城は明治の廃城令で取り壊されたが、見るものを圧倒する六段壁の石垣などの城跡が、戦国時代に武田氏と織田氏が奪い合った山城の名残を今に伝える。 また、 江戸時代になって城山の麓には城下町が栄え、400年以上続く古い町並みは文化庁から重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
ところが、国道257から出丸跡駐車場まで続く林道は工事通行止め...ここまで前振りしておいて恐縮だが、岩村城下町側から徒歩登城する気にはなれず、残念ながら今回の立ち寄りをあきらめることにした。 機会があれば再訪し、長篠の合戦で勝利した信長に磔にされた叔母、女城主「おつやの方」の逸話なども合わせて紹介してみたい。
日本三大山城の岩村城跡、林道通行止めで登城を断念(2009年5月撮影)
岩村城跡から国道257を折り返すと、恵那警察署岩村警部交番脇から分岐して、惠南ささゆり街道へと走り続けた。 流れが遅い明智鉄道沿いの国道363をバイパスする里を繋ぐ快走路、集落を避けた田園区間でペースを上げながら、乗り手のコンディションを上げてゆく。
岩村から惠南ささゆり街道に入り、国道363経由で瀬戸方面へと帰路に着く
惠南ささゆり街道から国道365に復帰すると、さらに混雑する明智の街を農免道路で迂回しながら瀬戸方面へと走り続け、東海環状道せと品野ICから名古屋方面へと帰路に着くことにした。 そして何とか、午前中に摩耗したタイヤを交換し、午後に新調したタイヤの慣らしという、何とも慌ただしい一日を無事終えることとなった。 蓋を開けてみると、走行距離約200kmのショートツーリングは、久しぶりに走り出す還暦親父の慣らしにも程よい旅となった気がする。
永く乗り続けていると、ライディングから離れて、仕事の勝負所や大切な人に寄り添うべき人生の節目がある。 ライディングは精神的にも身体的にも己を映す鏡、オートバイは己の生き様を振り返り軌道修正させてくれると感じるが、自分の壁は自分で乗り越えなければならぬことに変わりはない。 不安定な精神状態や体調でバイク道楽に逃避しても、手痛いしっぺ返しを食らうリスクが高くなるだけだろう。
進学や就職、結婚や育児、そして子孫の世代へ...人生の節目ごとにバイク道楽と距離を置き、それを乗り越えてからまたライディングを再開する。 振り返ってみると、そんな肩の力を抜いたオートバイとのかかわり方が、永く乗り続ける秘訣なのかもしれない。 多少のメンテを怠らなければ、長く放っておかれても腐らず走り出してくれる相棒...人間相手だとこううまくは行かないかも(笑)。
(番外編)東美濃親父飯街道
今回の慌ただしい半日旅ではお預けになってしまったが、ルート沿いにはこれまでのツーリングで訪れた、色んな美味いものが記憶に残っている。 そんな思い出をたどりながら、もう一度訪れてみたい店を紹介しておきたい。 それぞれのツーリングの行程に応じて、立ち寄りやすい店を選んでもらえたら幸いである。
みくに茶屋
東海環状道せと品野ICから雨沢峠へと駆けあがった三国山の麓、瀬戸から土岐へ市境を越えた国道363沿いにある「みくに茶屋」では、滋味深い自然薯料理をいただける。 丁寧にすりあげのばされたとろろ汁は、クリーミーでサッパリ、流し込むと腹の中から元気が湧いてくる。 名物のとろろ汁だけでなく、春の山菜、秋のキノコと、季節に応じて山の恵みを一網打尽にできる茶屋である。
店の裏手駐車場で天日干しされる自然薯、丁寧に擦りあげられたとろろ汁(18年3月撮影)
あきん亭(瑞浪本店)
県道66沿いにある醤油らーめんの「あきん亭」、多治見の大石屋から暖簾分けした旧店舗時代から通う店。 新店舗となった現在でも行列が絶えぬ人気ぶりである。
コクがあるののにサッパリしている醤油スープ、そのスープが絡むもっちりした自家製ちぢれ麺、そして名物のボリュームあるチャーシュー、老若男女に愛される要素がつまったらーめんである。
正直なところ、九州福岡出身の昭和親父の記憶に残るのは豚骨ラーメンなのだが、別物として懐かしさを感じる理由は、”醤油ラーメン”ではなく”醤油らーめん”を謳う店主の、日本の食文化へのこだわりのせいかもしれぬ。
今も行列が絶えぬあきん亭の旧店舗、クド過ぎずコクがある中華そば(2007年4月撮影)
ますや萬有
県道66から小路に入った瑞浪稲津郵便局のはす向かいにある蕎麦屋「ますや萬有」、洗練された細打ちの蕎麦やそばがきをいただける店。 特に、ふわっふわっに仕上げられた、生姜醤油でいただくそばがきは、ここでしか味わえないかもしれぬ。
どれも店主の確かな腕を感じさせる品々だが、これまた洗練された蕎麦前とともに定食として供される町の蕎麦屋さん。 家族経営であろうか、気の置けぬ雰囲気に、蕎麦屋を営む田舎の親戚に遊びに来たような錯覚を覚えるかもしれぬ。
県道66沿いで営業するあきん亭の近くなので、蕎麦好きの方々はもちろん、客の行列にくじけたラーメン党の方々も、趣向を変えて訪れてみるのも良いかもしれぬ。 妥協を薦めるのでは無い、趣向が違う美味いものにありつける店である(笑)。
ますや萬有のふっくらそばがき、上品な細打ち蕎麦を供する安気な蕎麦屋(2021年11月撮影)
鳥兵
岩村城下町の古い町並みにある、美味いものをいくつか紹介しておきたい。 明智鉄道岩村駅側からの一方通行だが、直接お目当ての店の駐車場まで乗り付けることも可能である。 時間があれば、周辺にある無料の公共駐車場に相棒を停めて散策するのも良さげである。
さて、まず腹ごしらえをするならば、お食事処「鳥兵」に立ち寄りたい。 屋号が示すとおり、恵那鶏をつかった鶏料理を得意とする、法事などの宴会もこなす定食屋さんである。
そして呑兵衛親父のお気に入りは”肝焼き定食”、照り良く仕上げられた甘辛い鶏モツは、素材の美味しさをシンプルに味あわせてくれる。 傍らに純米酒が無くとも、ご飯のお供として十分満足できるだろう(笑)。
その他、かしわ焼き定食や、鶏がらスープを使った塩中華そば、オムライスなどなど、恵那鶏にこだわった料理がいただける。
照り良く仕上げられた鳥兵のもつ焼き、素材がを活かすシンプルな甘辛味(2014年3月撮影)
かんから屋
岩村城下町古い町並みの中ほどにある「かんから屋」では、地元岩村町富田産のモチ米にこだわったつきたてフワフワのかんから餅をいただける。 注文すると店先で、こし餡、ごま、きな粉の三種類をまぶし供してくれる。 持ち帰りのお客さんも多いが、できれば店内で出来たてをいただきたいところ。
かんから餅の他にも、しの田うどんや玉子うどんなどの素朴なうどんメニューもそろっており、昼食時にはうどんとかんから餅をセットで注文するお客さんも多い。 個人的に、濃い目の味付けのうどんと甘い缶から餅の相性は良かったが、かなりのボリューム、炭水化物のオンパレード(笑)。
客に問いかけられることも多いのだろう、店内に掲げられた”加運賀良屋”の文字に、縁起の良い屋号の由来を知る。 環境破壊による自然災害、暮らしを変えたコロナ禍、核戦争が国際情勢...何とも縁起の悪い言葉ばかりが聞こえてくるご時世、旅の一時くらい皆で縁起の良い餅を食って世界平和を願いたいものである。
かんから屋のかんから餅、ひたすら柔らかい作り立てをいただきたい(2009年5月撮影)
あまから(岩村店)
恵那市大井町に本店を構える創業60年の五平餅専門店、1998年から岩村城下町の加登宇酒店前で岩村支店が営業している。 岩村城跡側から明智鉄道岩村駅方面に散策すると、最後にたどり着く甘味処である。
あまからの五平餅は団子型、個人的には、わらじ型よりもタレがからみ香ばしく焼ける好みのスタイル。 胡桃と胡麻のコクがたっぷり加えられた、しょうゆベースの甘辛タレは絶品、老舗五平餅専門店の実力を感じる。
店先で焼き立てを頬張るも良し、持ち帰って旅の余韻に浸りながら、土産を頬張るも良し。 店の焼き手から、電子レンジではなくオーブントースターで、香ばしく焼き直すべしとご指南いただく。
あまから岩村店の五平餅、胡桃と胡麻のコクが香ばしく絡む(2018年3月)
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