W800 streetとライディング vol.2(バックステップ、タンデムステップ、リアサスペンション、ウインカー)
昭和親父の琴線に触れるW800 street(2023年型)を衝動買いして一年が過ぎた。 未舗装道路が殆どでオン/オフ車の区別も無かった時代、また英国車を追い越せと頑張っていた時代のバイクをオマージュしたシンプルなモデル故、スクランブラーやカフェスタイルへの妄想が膨らんでいた。
しかし実際に、W800streetを峠道に持ち込んでみると、前後18インチホイールと細身のバイアスタイヤによる軽快な切り返しを、アップライトなポジションの腰下で操る楽しさの虜になってしまった。 おのずと、フロントホイールを19インチに換装してダートバイク化する企画や、セパハンに換装してタンクに貼りつくレーサー化する企画は宙に浮いてしまった訳である。 はてさて、迷える昭和親父はどこへ向かうのか...。
結果的にはれふら親父は、”オートレーサー”を手本にライディング修業に励むことにした(笑)。 これまでギャンブルに依存することも、オートレース場に足を運んだことも無い還暦親父だが、偶然にバイク系動画サイトで見かけたオートレーサーのライディングに、W800streetで峠を駆ける己のめざす姿を重ねてしまったのである。
オーバルコースに特化した段違いハンドルは兎も角、慣性の強い空冷二気筒エンジン(二速)、効かないフロントブレーキ(付いてない)、リア荷重のアップライトなポジションで、細身のバイアスタイヤを深く倒しこんで行くスタイルは、W800streetのライディングのゴールに思えた。 特に、古希を目前に極端なインベタのラインで勝ち続ける穴見和正選手のライディングには、久しく忘れていた感動すら覚えることとなった。
随分と前置きが長くなってしまったが、W800streetで峠を駆ける方向性が固まった?ので、気になる部品を入れ換えながら理想のライディングを目指して行くことにした次第である。
バックステップ
慣性力が強く回らぬ空冷二気筒エンジンのトルクバンドを維持しながら、効かないフロントブレーキの制動力の補填を兼ねたリアブレーキで前後挙動を抑え、独特の幅広ハンドルのカウンターで倒しこみながらリーンアウト気味のコーナリング姿勢を維持する。 クリップ後の立ち上がりを予測しながら早めに大きくアクセルを開け、リア荷重でトラクションをかけながら立ち上がる...そんなリアタイヤで曲がるコーナリングをイメージすると、タンクとの間に拳一個の隙間を開けた着座位置で、進入では上体を後方に傾け、立ち上がりでは前方に傾け、前後Gを体幹で支えるライディング姿勢をとりたいものである。
すると...体幹の延長上にあってほしいステップなのだが、ベンチに腰掛けたようなW800streetのステップ位置は、極端に前過ぎて踏ん張れないのである。 さらに、ツーリングで遭遇するギャップの抜重にはさらに難儀することになる。 晴れふら親父の身長177cm、体重75㎏の平均的な体格、ライディングもそれほど変わっているとは思わぬのだが...乗り手とバイクの一体感が得られぬポジションに、違和感を覚えるのは私だけだろうか。
そんな背景もあり、極端に前過ぎると感じる純正ステップをバックステップに換装することにした。 そして選んだのはBEET JAPANのハイパーバンク、ステップ位置が後方に80㎜シフトするバックステップである。 ステップ高さは変わらぬが、簡単に接地する円筒形のゴムステップとバンクセンサーが細くなり、実測で4㎝程度接地点が上がったことになる。
換装して良かったこと...上で散々愚痴った踏ん張れない違和感がすべて解消し、W800streetとの一体感を感じられるようになった事。
悪かったこと、事前にわかっていたことだが、リアブレーキのタッチが随分と変わってしまった。 慣れないと、純正と同じ感覚でブレーキペダルを踏んでも止まってくれないだろう。 一応、リンクロッドのブレーキぺダルカムへの取り付け位置を調整できるが、これ以上ストロークを増やしたくないので、自前のひらめ筋を鍛え直して対応することにする(笑)
さらにネガを挙げれば、バックステップが邪魔をしてサイドスタンドが出しにくくなったことだろうか。 冒頭で挙げた、相棒との一体感が得られるメリットに比べれば、どれも些細なネガである。 個人的には、純正のステップがこの位置でないのが不思議である。
80㎜後方にバックするハイパーバンク(L)、鍛造削り出しの質感が美しい
ハイパーバンク(R)、ブレーキのタッチには慣れが必要
(部品情報)
・BEET JAPAN ハイパーバンク(0111-KF1-20)
タンデムステップ
タンデムシートで人の命を預かるほど己の技量を信用できず、結果的にタンデムステップを使ったことは一度も無い。 よって機能的には必要無い(付いてるだけの)盲腸のような部品なのだが、鍛造削り出しのバックステップの外観に合わせて、鉄パイプにゴム筒をかぶせた無骨な純正ステップを交換することにした。
なるだけ目立たないようにしたいので、フレームの黒と色目を合わせた小ぶりのカワサキ純正ステップを探し装着することにした。 適当に選んだ今時のデザインのステップだが、意外にも加工なしでシンデレラフィット、ホームセンターで購入したボルトとナットで固定した。 似非レトロ親父にはこちらの見栄えの方がしっくりくる。
鍛造削り出しステップに合わせ、今時デザインのカワサキ純正タンデムステップに交換
(部品情報)
・カワサキZR1000KLF用タンデムステップ(R) (340280383)
・カワサキZR1000KLF用タンデムステップ(L) (340280382)
・ワッシャ(922000043)、ストッパ(320850801) 各2個
リアサスペンション
直立に近いアップライトなポジションでリア荷重を意識たライディングゆえ、自ずとリアサスペンションの挙動が気になってくる。 具体的に違和感を覚えたのは、路面ギャップからの突き上げがダイレクトに腰に伝わること、また中高速コーナーで路面のうねりを拾い発生するヨーイングである。 一応リアサスのプリロードは調整可能だが、前者は緩める側、後者は反対に締め込む側になるので、早々に純正サスの調整による解決を諦め、リアサスペンションを交換することにした。
選んだのはW800(2011-2016)用のOHLINS(KA224)、リザーバ内蔵型単筒式の高圧ガスタイプのショックアブソーバーである。 相棒の2023年型W800streetは適合確認されていないが、メーカに問い合わせたところチェーンカバーが干渉する場合があるとのこと。 まあ実際には、W800やメグロのゴツイ金属製チェーンカバーと異なり、W800streetの小ぶりの樹脂製カバーとのクリアランスは全く問題なかった。
そして肝心のダンピング性能は...初動がしなやかになって腰に来るギャップの突き上げは気にならなくなり、中高速域でのヨーイングも一発で収束するようになった。 正直なところ、ここまで劇的に変わるとは思っていなかったが、ツインショックのようなシンプルな構造程部品の性能差が出るって言うのは良い教訓になった。
OHLINS(KA224)への換装でリアサスの突き上げやヨーイングは劇的に改善した
また、交換後の1Gポジションは交換前と変わらずサグ調整は見送ることにした。 強力なフロントブレーキによるシビアな姿勢変化やら、強烈な加速によるアンチスクワッド効果やら、そんなものとは無縁?の相棒のサグを数㎜単位で調整する効果は少ないかもしれない。
実際のところ、19インチから18インチに小径化されたフロントホイール、理屈では10㎜強前下がりの前後姿勢の影響の方が強く、それが軽快な倒しこみや切り返しの要因になっていると思われる。 しばらくの間乗り込んで、サグ調整が必要なほどの動的な挙動変化があるかどうか様子を見ることにした。
余談だが、潔くセンタースタンドが装備されていないW800street、リアタイヤを浮かせるために四つ足の相棒ポロGのパンタジャッキを持ち出した。 専用ジャッキに比べてて不安定さは否めず、ゴムバンド等によるフロントブレーキロックは欠かせぬが、これがなかなか使い勝手が良い。 エキパイを避けながらフレームのリフトポイントを探せるし、リフト量の調整も塩梅よくできる。 今後、作業性の悪いW800streetのチェーンメンテナンスにも使えそうだ。
リアサス交換作業に四輪のパンタジャッキを利用、なかなか使い勝手が良い
(部品情報)
・OHLINS リアサスペンション KA224(W650 1999-2009、W800 2011-2016)
ウインカー
激しく振動する純正ウインカーを、ラバーステーに亀裂が入る前に交換することにした。 ライディングには全く関係ないのだが、オートレーサーにはついていないウインカーを、目立たないものに交換する目論見である(笑)。
リレーまで交換するのは手間なので、純正と同じ電球仕様の程々に小型なものを探し、POSHから発売されているW800用の専用キットを購入した。 ついでにヘッドライトやら制動灯も小ぶりなものに...と行きたくなるものだが、最近暗がりの視力低下が著しい還暦親父に、明るいLEDヘッドライトは外せず、このままの姿で見栄えのバランスを取ることにした。 機能的な美しさにこだわっている、とでもうそぶいておこう(笑)。
POSHのW800専用の小型ウインカーキットを装着、強烈なブレは解消した
ドラレコカメラの横に納まったリアウインカー、程々にスッキリした
(部品情報)
・POSH W800(2020~) ウインカー (043198-56)
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