#映画 「トップ ガン マーベリック」


 還暦世代らしき親父達がオープニングの映像と音楽に目頭を熱くする...2022年(令和4年)に公開された、ジョセフ・コシンスキー監督、トム・クルーズ主演の「トップガン マーベリック」の劇場鑑賞中に遭遇したひとこまである。

 この「トップガン マーベリック」は、トム・クルーズの出世作「トップガン」が公開された1986年(昭和61年)から、実に36年ぶりとなる続編である。 そしてこの映画は、オープニングで涙する昭和親父達と同世代の自分にとって、3つの大きな意味を持っている。



 まず第一に前作と今回の続編が、自分の人生の節目を繋いでいることである。 振り返ってみると、前作のトップガンが公開された1986年が、九州福岡の学生生活を終えて愛知に就職した年であった。 そして続編のトップガン マーベリックが公開された現在、定年を迎え第二の人生を考える齢になっていた。

 そのせいか、デンジャー・ゾーンのBGMでF18が離艦するオープニングや、トム・クルーズがトップガンカラーのGPX900R(A2)を駆る映像を見せられると、前作当時の福岡の思い出やこれまで下してきた人生の選択が、走馬灯のようによみがえってくるのである。 銀幕にそろって涙ぐむ親父達もまた同じ思いだったのかもしれぬ。

 そして第二に、トム・クルーズが演じるマーヴェリックが着用するフライトジャケットの背に、前作でも登場した日本と台湾の国旗のワッペンが復活していたことである。 2019年の予告公開時には、中国市場への忖度のためか別の模様になっていただけに嬉しくなった。

 突然だが、中国市場に丸裸で参入してきた日本企業も、理不尽な中華政策を可能にする情報の垂れ流しを、反省する時期に差し掛かっているのではなかろうか。 中国が、約2500年前の兵書「孫子」第十三編以来、諜報戦の重要性を説き実践してきた国であり、それゆえに武田信玄も学んだであろうそのやり方は解りやすくもある。

 日本製鉄によるトヨタ自動車と中国の鉄鋼メーカー宝鉄に対する特許権侵害訴訟を耳にすると、日本産業をけん引するトヨタよりも日本製鉄を応援してしまうのである。

 そして第三は、トム・クルーズがストイックに現役のアクション・スターにこだわる己を投影したであろうマーベリックの生き様である。 

 一介のリーマン親父の人生を、10億ドルを稼いだと言われるハリウッド・スターや、命がけの空中戦を生業とする戦闘機乗りの物語と比べるべくも無いが、そのこだわりに共感するところは多い。

 ”お偉いさん”への奉公や忖度に背を向けて志を貫き、共感し貢献したいと想えるメンターや仲間との糸を繋ぎながら、心躍る事業の最前線で戦い続けるのは難しい。 そして、この映画を観て再度確信した唯一の方法は、受け入れざるを得ない実力を示し続けるしかないということである。

  未練がましくそう語るリーマン親父は、この映画から引退して次のステージに移るヒントをもらうこととなった。


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