2024/02/26 知多半島新春食い倒れツーリング(知多広域農道、天手古舞、丸誠、天気輪の柱、げんきの郷)


 咲きだした梅の花の香りに誘われ、知多広域農道(知多満作道、味覚の道、ふるさとロード、すいせんロード)を折り返す、知多半島ツーリングへと走り出すことにした。 気が付けば2024年が明けて初めてのライディング、知多半島中央の緩やかな丘陵地を縦断する知多広域農道は、走り初めの足慣らしにも丁度良い。

 ところで、昨年秋の知多半島ツーリングでも紹介した通り、かつて分断されていた南知多町のすいせんロード区間が繋がり、知多広域農道を一気通貫に駆け抜けるツーリングルートが完成した感がある。 正しくは、味覚の道とふるさとロードを繋ぐ区間には、現在も知多半島道路美浜PA裏の側道へと迂回せねばならぬ狭道区間が存在する。 しかし、流れを妨げる観光車両の関所となるこの迂回区間、バイク乗りにとってはこのまま残しておいていただいた方が良さ気である。

 そして今回は、国道23バイパス豊明インターから梅まつりで賑わう佐布里池を経由し、知多広域農道を知多半島先端まで南下し、往路へと北上して帰還するルートをたどることにした。 走り慣れたルート沿いでは、立ち寄りたい美味いもの屋に目移りすることになる。

 まだまだ寒さが残る時期の走り出しに、まずはそば切り「天手古舞」のかけそばで体を暖め、昼食には魚貝料理「丸誠」で師崎漁港の新鮮な海鮮をいただき、復路では「天気輪の柱」でこだわりのコーヒーとスコーン、そして「JAあぐりタウンげんきの郷」で夕食の食材を仕入れ帰路に着く...新春早々の食い倒れツーリング、今年も相変わらず食いしん坊親父のバイク旅は続きそうである。

知多広域農道の起点佐布里池に咲く佐布里梅、薄紅色で星形の花びらがお見送り



ルート概要


国道23名四バイパス豊明IC-県57→惣作-国155→天手古舞-国155→惣作-県57→大府森岡-県252→高丘町二丁目-農免道路→阿久比旭台-県46→深田脇→佐布里緑と花のふれあい公園(佐布里池)→深田脇-知多満作道味覚の道樽水本宮神社味覚の道→常滑大谷工業団地-市道に左折-知知多道路美浜PA側道-県273→東平井-県274-(ジョイフルファーム鵜の池、過ぎて右折)-ふるさとロード-県276-樫木-すいせんロード→片名漁港-国247→丸誠(師崎漁港)

丸誠(師崎漁港)-国247→小佐漁港-市道に右折-すいせんロードふるさとロード味覚の道→北池農村公園(権現田)-市道→阿久比町スポーツ村-市道→城街道-県55→天気輪の柱-市道-(坂部駅踏切)―市道→ふれあいの森西-県55→福住-県46→阿久比旭台-農免道路→高丘町二丁目→県252→JAあぐりタウンげんきの郷-県252→大府森岡-県57→国道23名四バイパス豊明IC


ツーリングレポート


 平日に休暇を取り、3年前に受けたガン治療の経過観察を無事終えての走り出し、朝一番の検査枠に並んだかいもあり午前中の出発が可能になった。 手早く身支度を整えると、久しぶりにW800streetの空冷二気筒エンジンに火を入れ、国道23名四バイパス豊明インターから大府方面へ南下する県道57へと走り出した。

 まだまだ冬物のライディング装備が手放せぬこの時期、特に朝晩の冷え込みはバイク乗りにとってはかなり厳しく、温かい麺をすすり腹の中から体を暖めたくなる。 この日も、走り出した県道57が程なく惣作交差点にさしかかると、交差する国道155を刈谷方面に分岐して、そばきり「天手古舞」に立ち寄ることにした。 開店直後の来店故に、知多半島ツーリングを折り返す師崎漁港の、魚貝料理「丸誠」の昼食営業にも間に合うだろう。

 さて、二代半世紀続くと聞いた天手古舞、昭和の田舎家の外観や柱、使い込まれた土間に小上がりや座敷が並び、老舗そば切りの風情が漂う。 店に入り、土間の隅に一卓だけ設けられたテーブル席に落ち着き供された蕎麦湯をすすると、お目当てのかけそば850円也を注文した。

 この店では、せいろの細切りそばに比べ、かけそばはかなりの太切りで供される。 香りや喉越しよりも、もっちりとした食感に振ったこだわりを感じる一品、濃すぎず、甘すぎず、ゆずがあしらわれた汁も、上品で蕎麦の味わいを引き立ててくれる。 特に盛りが良いというわけでは無いが、十分な満足感を味わうことができるだろう。


知多半島への走り出し、老舗そば切り天手古舞の温かい蕎麦で体を暖める


もちっとした食感の太切りのかけそばに大満足、ゆずがあしらわれた汁も上品♪


 天手古舞で食べ応えのあるかけそばをすすり終えると、タイミングよく供された蕎麦湯でその余韻を楽しみ、知多広域農道を目指し再び走り出すことにした。 その後、大府から東浦を貫けて阿久比に至る農免道路へと走り継ぎ、県道46を知多方面へと西走し広域農道の起点となる佐布里池にたどり着いた。

 折しも、佐布里池を中心に広がる”佐布里花と緑のふれあい公園”は、知多市天然記念物佐布里梅をはじめとする二十五種、約6,000本の梅が咲き誇る佐布里池梅まつり真っ最中。 平日と言うこともあってか人出は少なく、路側にW800streetを停めて、まったりと甘い梅の香りに包まれる。


梅まつりの佐布里池を起点に知多広域農道へと走り出す


 佐布里梅まつりの梅の香りを纏いながら知多広域農道の知多満作道に走り出すと、佐布里池を中継池とする愛知用水に沿って知多半島の田園風景を南下する。 そして、知多市の知多満作道は道なりに常滑市の味覚の道へと愛称を変え、標高87m境内からセントレア空港越しに伊勢湾を望む樽水本宮神社に差しかかった。

 樽水本宮神社の祀神は大己貴命(おおなむちのみこと)、出雲の国づくりと因幡の白兎伝説、縁結びのご利益で知られる、大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名である。 またご存知の通り、この神様は食物や財福を司る大黒様の顔を持ち、五穀豊穣、開運、財運…何ともご利益てんこ盛りの神様なのである。

 昨年末に父が亡くなり喪中の年越しとなったが、新春の走り初めで残された家族の無事と平安を祈ることにした。 参道石段を過ぎた小路から樽水本宮神社脇の駐車場に駆け上がると、わずかばかりのお賽銭と共に参拝を終え、展望所から見下ろした知多広域農道へと続けることにした。


大黒様でもある大国主命を祀る樽水本宮神社、そのご利益はてんこ盛り


樽水本宮神社展望所(標高87m)からセントレア空港越しに伊勢湾の眺望


 佐布里池の梅林に見送られ走り出した知多広域農道の新春ツーリング、期せずしてその道中は冬から春へと移る季節に咲く花々で彩られていた。 1~4月に咲く梅の花、3~4月に咲く菜の花、2~3月に咲くすいせんの花、そして2~3月に咲く河津桜...満開の桜を愛でる春爛漫の旅も良いが、少しばかり寒いのを我慢すれば、咲きだした早春の花々をまとめて愛でることが出来る。


味覚の道沿いで黄色く群生する菜の花、暖かい色味は里の春の代名詞


南知多町の観光農園花ひろばを囲む河津桜、大輪で紫紅色の早咲きの桜


すいせんロードを彩る水仙、冬を越して早春に咲く清楚な花


 広域農道を彩る早春の花々を眺めながら、知多市の知多満作道、常滑市の味覚の道、美浜町のふるさとロード、そして南知多町のすいせんロードまで走り継ぐと、いよいよ昨年3月に開通したばかりのすいせんロードの連結区間にさしかかった。

 三河湾の眺望を見下ろす真新しい峠道農道は、広域農道の旅を締めくくるにふさわしい極上のワインディングである。 久しぶりのライディング、「無事に走り初めろよ」と己に言い聞かせ、適度なペースでライディングを満喫し、すいせんロードの終点片名漁港に向けて駆け降りていった。


すいせんロードから三河湾をはさみ碧南火力発電所を見下ろす

知多広域農道の旅を締めくくるすいせんロードの極上ワインディング


すいせんロードを知多半島先端まで走り切り、左手片名漁港にむけて駆け降りる


 すいせんロードを片名漁港まで駆け降りると潮の香りに包まれ、海辺まで走って来たことを知る。 そして、突き当たった国道247を知多半島先端に向けて走り出すと、ほどなく師崎漁港にさしかかり昼食をとる魚貝料理丸誠にたどり着いた。

 旧店舗時代から通いつづける海鮮料理店、店内に海水を引いた生簀が並び潮の香漂う素朴な食堂は随分と小奇麗になったが、いまも旧店舗の生簀から仕込まれる新鮮な魚貝に変わりない。 平日の営業終了間際の来店故、待ち時間なく席に付けたが、混雑する週末の昼時などタイミングを計らねば待ち時間必至であろう。


師崎漁港の魚貝料理「丸誠」、代も変わり随分と小奇麗な店になった


 この日の注文は、磯定食2,050円、生牡蠣900円也。 どうみても吞むこと前提のラインナップ、新鮮な海鮮達が配膳される度、大気圏突入することのない冷えたシャブリ衛星が親父の頭を周り続ける。 美味いものを巡るバイク旅、唯一課題があるとすれば、この吞めない問題の克服であろうか(笑)。 泊まりと言う安直な答えは兎も角、それもかなわぬ多忙な「呑み鉄」ならぬ「呑み鉄馬」が満足できるツーリング企画は、晴れふら親父の永遠のテーマなのである。

磯定食に生牡蠣を追加注文、丸誠の新鮮な魚貝は今も健在


 師崎漁港丸誠の新鮮な魚貝料理で贅沢な昼食を済ませると、国道247で三河湾から伊勢湾へ知多半島先端の海岸線をトレースした。 知多広域農道を半島先端で折り返するツーリングルートではあるが、やはりこの漁港を繋ぎながら海岸線をトレースする区間ははずせない。

 そして、国道247が小佐漁港に差しかかったところで小路に分岐し、往路のすいせんロードへと駆け上がった。 その後、すいせんロードからふるさとロード、さらに味覚の道へと折り返し、名鉄河和線板部駅近くの住宅街でひっそりと営業する喫茶店、天気輪の柱に立ち寄ることにした。 

三河湾から伊勢湾へ国道247で知多半島先端の海岸線をトレースする


 以前にも紹介したことのある、小さな住居ビルの一階でヒッソリと営業する天気輪の柱。 店名の「天気輪の柱」とは、宮沢賢治の童話作品「銀河鉄道の夜」に登場する、銀河ステーションの丘に立つモニュメントのことである。

 店に入ると生憎、名鉄河和線が走る田園風景が広がる窓際席には先客があり、今回は挽きたてのドリップ珈琲が香るカウンター席に落ち着いた。 注文したのは「午後の特別」いわゆるおやつセット600円也。 飲み物に選んだこの日のイ・レギュラー珈琲は、深煎りのホンジュラスとキリマンジャロのブレンド。 そしておやつは、手作りのジャムとクロテッドクリーム、はちみつが添えられたスコーン。 最近申し訳なさそうに、100円程値上げされたメニューだが、それでもこのお値打ち感に陰りは無い。 

住宅地でヒッソリと営業する天気輪の柱、店裏には名鉄河和線が走る田園風景


珈琲が香るカウンターで、午後の特別、こだわりのブレンドとスコーンをいただく


 非日常が味わえるこの喫茶店、店主の様々なこだわりが綴られたメニューを覗けば、底が見えぬ店の実力を知るために通うことになるだろう(笑)。 食い倒れと称した走り初めをしめくくるに、何ともふさわしい大人のおやつとなった。

 天気輪の柱を後にすると名鉄河和線坂部駅脇の踏切を渡り、県道46を半田方面へと走り継ぎ、阿久比から東浦を貫けて大府に至る農免道路を北上した。 その後、知多半島の濃海産物を一網打尽にできるJAあぐりタウンげんきの郷に立ち寄り、家族にふるまう夕食の食材を仕入れると、予定通り国道23名四国道豊明インターから帰路に着くこととなった。 

阿久比から東浦を貫けて大府に至る農免道路で走り初めツーリングをしめくくる


 さてさて、随分と遅くなってしまった2024年の走り初めだが、思惑通りに知多半島の美味いものをたらふくいただき、走り続けるための足慣らしを無事終えることとなった。 そして思いがけず、佐布里池の梅林にはじまり早春を彩るルート沿いの花々に癒される旅ともなった。

 諸行無常の世の中、特にコロナ禍以降その現実を感じることが多くなった。 実際のところ、子供の頃から当たり前だった家族の形も変わり、バイク旅の道中では営みをやめてしまったお気に入りの店も少なくない。 その現実を受け入れるからこそ、今走り続けていること、新しい思い出を築き続ける事の大切さを、改めて感じるバイク親父なのである。


ツーリング情報


天手古舞  愛知県刈谷市稲場町6丁目813 (電話)0566-23-7857


丸誠  愛知県知多郡南知多町師崎林崎106 (電話)0569-63-4131


天気輪の柱  愛知県知多郡阿久比町卯坂坂部39 (電話)0569-48-8027


 JAあぐりタウンげんきの郷  愛知県大府市吉田町正右エ門新田1-1 (電話)0562-45-4080



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