2023/04/01 春爛漫西三河を南下、食堂飯ランチと自然酵母パン(大ちゃん、ダーシェンカ、広域農道幡岡線)


 春分も過ぎて世の中はお花見シーズン真っ只中、名古屋地方の満開の桜も散り始める気配である。  そんな週末、午前中に無粋な用事をかたずけた親父は、お気に入りの食堂飯が目当てのランチツーリングへと走り出すことにした。 ルート沿いには満開の桜が見頃をむかえていることだろう、ツーリングの道中ではバイク親父流の花見も満喫できるに違いない。 

 そして目指したのは額田郡幸田町にある大衆お食事処「大ちゃん」、国道23バイパスを知立バイパスから岡崎バイパスへと走り継ぎ、幸田芦谷ICを降りた国道248沿いで営業する人気の食堂である。 また家族への土産に、大ちゃんからほど近い緑と風の「ダーシェンカ」に立ち寄り、自家製自然酵母と薪炊きの石窯で焼かれたこだわりのパンを仕入れて帰るつもりである。

 腹ペコの往路は国道23バイパスを飛ばして一気に移動したが、復路では広域農道幡岡線のトリッキーなワインディングで吉良町まで折り返し、三河湾をトレースする国道247へと走り継ぎ、衣浦港沿いの国道419を北上して帰還するルートをたどった。

 復路の広域農道幡岡線の路面コンディションはかなりタフで、路面の亀裂や轍、路側には落ち葉が残り、さらに蒲鉾型の減速帯まで敷設されている。 アップダウンを伴う中低速コーナーはW800 streetとの相性もよさそうだが、タフな路面に対するロバストはどうだろうか? W800 streetの性能云々の前に、乗り手の腕前の方が問題なのかもしれぬ(笑)。


満開の桜が舞い散る広域農道幡岡線、幸田サーキットへの駆け上がり



ルート概要


国23(知立バイパス)-国23(岡崎バイパス)→幸田芦谷IC-国248→大ちゃん-国248→ハピネスヒル南-市道→緑と風のダーシェンカ-県483→菅田-県292→大迫-県292→野場西-県325→梅ノ木-広域農道幡岡線→(岡崎バイパス幸田桐山IC)→桐山(国23)-広域農道幡岡線→(幸田サーキット)→広域農道幡岡線-(県320)→広域農道幡岡線-(県317)-広域農道幡岡線-(吉良カントリークラブ)-広域農道幡岡線→萩原南-県42→吉田-国247→寺津大明神-国247―(矢作川大橋)-国247→港本町-国247→衣浦大橋東-国419→国23(知立バイパス)西中IC



ツーリングレポート


 名古屋市内から名四国道23にのって東へ走り出すと、知立バイパス、岡崎バイパスと道なりに走り続けた。 そして、西三河から東三河へ抜ける高架国道からは、河原の堤防や学校の校庭などに点在する満開の桜を遠くまで見渡すことができる。 そんな春爛漫の景色の中、相棒の空冷二気筒360°クランクのエンジン音を聞きながら、ともすれば溜め込みがちな在宅勤務のストレスを解放しながらクルージングを楽しんだ。

 人間は、全くストレスが無い状態を快適とは感じられないらしい。 冬のライディングの凍える寒さは明らかに過剰なストレスであるが、W800 streetの排気音や振動はバイク親父にとって適度な刺激にあたるようだ。 走っていることすら意識せぬ無ストレス状態となり、気が付けば岡崎バイパス幸田芦谷インターにたどり着いていた。

 早速、駆け降りた国道248を岡崎方面に走り出すと、程なくお目当ての大衆お食事処「大ちゃん」にたどり着いた。 すると相変わらずの人気ぶりで、店前の駐車場はすでに満車状態、諦めて立ち去る客も見受けられる。 バイクで来店の親父は、駐車場の端に駐輪スペースをみつけ無事にご来店となった。


大勢の客で賑わう「大ちゃん」、魚料理中心の定食メニューに目移りする


 店内に入ると、運よく空いた壁際のお一人様席に案内され、待ち時間なしにお目当ての食堂飯にありつける運びとなった。 ところで、席に落ち着き周りを見渡すと、殆どの客は刺身定食を注文しているようである。 お一人様船盛状態(笑)のインパクトある刺身定食が、ほとんどのテーブルに配膳されて行く。

 そんな一番人気メニューに後ろ髪を引かれながらも、定食飯を目当てに走り出した晴れふら親父は、昭和親父のザ・ごちそう定食、エビフライ定食1,375円也を注文することにした。 程なく配膳された、大ぶりの有頭エビがカリカリに揚がったエビフライ、咀嚼力に問題なければ、エビ味噌ごと頭からかぶりつくのが正解であろう。 


エビフライ定食1,375円也、カリカリに揚った大きな有頭エビにかぶりつく


 魚料理を中心に豊富な定食メニューに目移りする大ちゃん、気になるメニューは再訪して全クリして行きたいものである。 店主が体調を崩してしばらく休業していたようだが、何とかやりくりしながら長く続いてほしい定食屋である。 いつも駐車場に車が溢れる人気店故、四輪で訪れるには休日や混雑する時間帯を外すなどの工夫が必要かもしれぬ。

 イメージ通りの食堂飯を一気に平らげた昭和親父は、国道248からJR沿線の田園地域へと移動し、自家製自然酵母と薪炊きの石窯でこだわりのパンを焼く、緑と風の「ダーシェンカ」にたどり着いた。 

手作り自然酵母と薪炊きの石窯パンにこだわる、緑と風のダーシェンカ


 そして今回は、定番の「ダーシェンカ」、春限定の「八重桜パン」と「よもぎパン」の三種類を、家族への土産に仕入れて帰ることにした。

 屋号にもなっているダーシェンカは、創業当初からの看板商品とのことである。 たっぷりのレーズン二種と胡桃が混ぜ込まれ、高温の石窯で焼かれた生地の外側はカリッと香ばしく、中はモチモチした食感を楽しめる。 その独特の食感は、自然酵母のほのかな甘い香りとともにオンリーワンの出来栄えかもしれない。

 また、春限定の八重桜パンとよもぎパンは、何もトッピングされていないシンプルな生地ながら、ひと噛みすると鼻に抜ける桜やよもぎの香りに、ふ~っと、ため息が出るほどの幸せを感じる。 不思議なことに、子供のころ土手で摘んだヨモギでばあちゃんがつくってくれた、よもぎ餅のことを思い出した。 


定番のダーシェンカ1/2、そして春のよもぎパン、八重桜パン


 さて、仕入れたパンをヒップバックにしまい込んで身支度を整えると、JR幸田駅北側にある架道橋を潜り、広域農道幡岡線の幸田町側入り口にむけて走り出した。

 その道中、幸田町役場の桜が目に留まり、相棒と満開の桜のツーショットをスマホにおさめる。 桜の名所に限らず、大勢の観光客であふれる景勝地はすばらしいが、ツーリングの道中で思いがけず出会う無名の景色もまんざらではない。 ドコドコと土地勘のない路地にも分け入れるW800 streetとなら、昭和親父の琴線に触れる景色に出会える機会も増えそうである。


幸田町役場の満開の桜が目に留まり、相棒と春のツーショットを撮影する


 そしていよいよ、県道325沿いから分岐する広域農道幡岡線入り口にたどり着くと、今でも反射的に二輪通行止めの標識を探してしまう。 2014年に土日休日の二輪通行止めが解除されて久しいが、週末のツーリングに利用できない憤りやら、利用者が無く放置され荒れ果てしまった農道の様子は、今もバイク親父の記憶に焼き付いているのだ。

 ツーリングを楽しめる環境と、地域経済の活性化の好循環を生み出す根っこは、良識ある乗り手と多様性を認める世の中であることは間違いない。 はたして我々は、そんな世の中に辿り着きつつあるのだろうか...日本二輪車普及安全協会なる一般社団法人が、ニ輪車の安全運転と通行規制緩和を呼びかける状況を見ると、日本の二輪文化の成熟はまだまだ先のことだと感じてしまう。 不条理な二輪の通行規制でお困りの方は、上述サイトを通じて要望を投じてみても良いかもしれぬ。

 さて、広域農道幡岡線の額田郡幸田町側の入り口に分岐すると、いよいよ西尾市西幡豆町を貫けて吉良町に至るまでの、全長約24kmのワインディングが始まる。 そしてまずは、国道23岡崎バイパスの桐山インターを潜り抜けて国道23に合流するまでの区間、よく整備されたアスファルトの路面コンディションは良好でライディングに集中できる。 しかし、落差があるスクリューダウンヒルも存在し、やはりなかなか一筋金輪ではいかない農道である。


広域農道幡岡線の額田郡幸田町側入り口、西尾市吉良良町まで約24kmの峠道


 その後、国道23と交差して幸田サーキットに向けて駆け上がると、路側に舞い落ちた桜の花びらの上に相棒を停めて上ってきた農道に振り返る。 頭上には満開の桜、駆け上がった農道脇には筆柿の若葉、真っ白な梨の花、なんだかもう春爛漫。 枯れかけた還暦バイク親父も、もう一花...っと、浮かれそうになる景色(笑)。


 国道23を越えてさらに農道は続き、芽吹いた筆柿と白い梨の花に振り返る


 さて、幸田サーキットを過ぎてしばらくは真新しい舗装の路面がつづくが、県道41を高架橋で越えて西幡豆町に入ると、路面の亀裂や轍、路側に堆積した枯れ葉等々、気を抜くと足下をすくわれそうなトラップ満載のルートとなる。 二輪通行規制が布かれていた当時に比べると、路面の管理状況もましになった気もするが、荒れたコンディションでの対応力を磨けるルートであることに変わりない。

 そして何より気を付けなければならぬのは、コーナーの繋ぎ部分に敷設された蒲鉾型減速帯である。 一応、赤茶色に色分けされてはいるが、路面が荒れた区間では舗装色は色あせ、衰えた親父の視力で認識するのはかなり難しくなる。 フロント荷重になるコーナー侵入で不用意につっこむと大惨事にもなりかねない。

 減速帯にぶつかる前に進入速度を加減して、アクセルをあてながら前輪の荷重を抜いて蒲鉾を越えて行くのだが...W800 streetのアップライトなポジションとしなやかな足回り、さらにスタンディング姿勢をとればまるでダートバイク、減速帯あらためジャンプ台として結構楽しめるかも(笑)。


西尾市西幡豆町に入ると広域農道幡岡線の路面は荒れてくる 


 広域農道幡岡線は、県道320、県道317と交差して吉良カントリークラブの間を抜けると、名鉄西尾線を越えた県道42に突き当たって終わりとなる。

 荒れた路面や減速帯などネガな部分ばかりを紹介してしまったが、基本的にはアップダウンを伴う適度なコーナーが詰まった、密度の濃いワインディングである。 初見では無理をせず慣熟走行に徹したほうが無難だが、慣れて来ればトリッキーな峠道を楽しむよゆうもでてくるだろう。 繰り返し訪れて、ライディングや地元の美味いものを楽しみたいものである。

県道320,県道317を越えて吉良町へ、吉良カントリークラブを抜け農道は終わる


 広域農道幡岡線を吉良町まで走り終えると、国道247に合流し三河湾沿いの集落を巡りながら帰路に着くことにした。 漁業と農業の暮らしが混在する独特の雰囲気を味わいながら、地元車の流れに乗ってゆっくりと走り続けた。

 そして、国道247は矢作川大橋で”三河”の由来にもなった矢作川を渡り、さらに突き当たった衣浦港岸を北上して国道419へと走り継いだ。 その後、国道23知立バイパスに駆け上がって名古屋方面への帰路に着き、無事食堂飯ランチの半日旅を終えることとなった。


矢作大橋で矢作川を渡る、遥か対岸に武豊火力発電所が見える


 今回紹介した、三河湾岸の丘陵地を走る広域農道幡岡線は、冬場でも走れるお助けルートであるだけでなく、春には春の季節を感じながら変化に富んだライディングを楽しめるルートであった。 そして新しい相棒W800 streetとタフな農道との相性は思いのほか良く、肩の力を抜いてライディングを満喫する結果となった。 ルート沿いにあるグリーンロード(広域農道西幡線)や三ヶ根山スカイラインと組み合わせれば、さらにライディング主体のツーリングルートを組み立てることも可能だろう。

 また、遅い走り出しとなった今回のツーリングでは叶わなかったが、広域農道幡岡線を走り終えた西尾市吉良町には、忠臣蔵で仇役となった吉良上野介ゆかりの史跡もあり、地元名君側の視点で巡ってみるのも面白そうである。 さらに道中には、一色漁港の一色魚広場、温暖化の逆風で岐路に立つたんトピア電力館、さらには碧南水族館等々立ち寄りたい場所も多く、機会があれば紹介してみたい。

 そんな二輪道楽を続けるためにも、かつての広域農道幡岡線のように、二輪を締め出すためだけの不合理な通行規制も必要なく、自由な二輪旅を楽しめる世の中になることを祈ってやまない。 それにより、地域の小さな食堂が長く商売を続けれられる経済効果が生まれ、そんな好循環が根付いてほしいものである。 そんな高尚な話も、ライディングが云々と年甲斐も無く盛り上がる還暦バイク親父が、己のへたれな技術をわきまえて事故らぬことが前提となる。



ツーリング情報


大ちゃん  愛知県額田郡幸田町横落字郷東43-1 (電話)0564-62-6203


緑と風のダーシェンカ  愛知県額田郡幸田町大字菱池字桜塚174 (電話)0564-63-3273



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