2023/03/04 お伊勢参りと伊勢志摩ワインディング(山口屋、鳥羽はまなみ、伊勢志摩スカイライン、パールロード)


 これまで、新しい相棒となったW800 streetの慣らし運転を通じ、中低速型の空冷バーチカルツインエンジンと、アップライトなライディングポジション特有のライディングスタイルを知った。 さらに慣らしを終えた峠道で、最大トルクまでエンジンを回した時の力強い立ち上がりと、ライディングを楽しめる車体バランスの良さを体感することとなった。

 そして、最後に残った相棒の気になる乗り味は、長距離ツーリングで欠かせぬ高速道路走行性能である。 360°クランクエンジンの振動や上体が起きたポジションの走行風など、快適な高速クルージングとは対極にある特徴が気になるところである。

 暦の上では啓蟄、春を間近に控え虫も這い出す季節となったが、上がり切らぬ気温に冬物のライディングジャケットはまだ手放せず、名古屋から北へと進路をとることもためらわれる。 そして、相棒の実力をはかる高速道路旅の行く先を思案した結果、比較的温暖な伊勢湾岸沿いを伊勢志摩方面へと南下する伊勢自動車道をたどることにした。

 伊勢自動車道を折り返す伊勢志摩では、まずは伊勢神宮外宮、内宮に参拝し、伊勢から鳥羽へ朝熊山頂を越える伊勢志摩スカイライン(16.3km)、鳥羽から志摩への海岸線をたどるパールロード(23.8km)で観光ワインディングを満喫する算段である。 またその道中では、お気に入りの 伊勢うどんの「山口屋」、海女小屋「鳥羽はまなみ」を再訪し、腹の中から伊勢志摩ツーリングを味わうつもりである。

 高速道路移動に、神宮参拝、そしてワインディング、その隙間に飯をかき込みながら駆け抜ける...何とも慌ただしい日帰りツーリングではあるが、旅バイクW800 streetとなら肩の力を抜いて楽しめそうな気がする。 あっ、肝心の相棒の高速道路での実力は如何に!? そこが辛いばかりでは、旅バイクの肩書きも怪しくなる(笑)。


伊勢志摩e-Power Road(伊勢志摩スカイライン)を鳥羽に向け駆け降りる


ルート概要


伊勢自動車道伊勢西IC-県32→伊勢うどん山口屋,伊勢神宮外宮-県32→宇治浦田町-国23→伊勢神宮内宮-国23→宇治浦田町-県32-伊勢志摩e-Power Road(伊勢志摩スカイライン)→朝熊山頂展望台-伊勢志摩e-Power Road(伊勢志摩スカイライン)-国42→海女小屋鳥羽はまなみ-国42→安楽島大橋北-県750→麻生の浦大橋-県128(パールロード)→鳥羽展望台-県128(パールロード)→的矢湾大橋北-県16→三交バスセンター前-県61→伊勢道路入り口-国167→恵利原アメニティ前-県32→伊勢自動車道伊勢西IC



ツーリングレポート


 さあ、いよいよW800 streetの高速道路デビュー、意気揚々と伊勢湾岸道へと駆け上がり、東名阪自動車道から伊勢自動車道へと一気に走り継ぐ...目論見であった。 がっ、伊勢湾岸道に駆け上がるやいなや、出鼻を挫く大渋滞に巻き込まれる。 どうやら、飛島インター手前の名港西大橋で、大型車と乗用車の接触事故をきっかけに、5台の多重衝突事故が発生したらしい。

 伊勢湾岸道でこの類の事故渋滞に遭遇することも多く、改めて、素人の事故回避能力が当てにならぬことを前提で間合いを計らねばと肝に命じる。 いきなりの渋滞に、W800 streetの高速道路でのインプレどころでは無くなったが、程々に車線を縫いながら渋滞の先頭を目指す。

 渋滞に遭遇したおまけではあるが、W800 streetの幅広なアップハンドルでも、意外にも渋滞中の車線変更もスムーズにこなせることが分かった。 邪魔で折りたたんでいたSSのカウリングミラーに比べ、ハンドル端グリップの接触は見切りやすいためかもしれぬ。 

 さて、飛島インター近くの事故現場を過ぎると渋滞も解消され、いよいよ高速道路におけるW800 streetの走り方をあれこれ試す運びとなった。 そしてまず感じたのが、風の影響である。 速度を上げれば走行風が強くなるのは言わずもがな、飛ばそうが飛ばすまいが、横風に煽られるとふらついて怖い思いをする。 それなりの車重221kgの効果も、あまり期待できないようである。

 最近冬場のライディングでは、KUSHITANIのダウンインナーをフードジャケットで覆ったGAL JACKETを愛用しており、その防寒性能の高さは手放せそうにない。 しかし、W800 streetの高速道路走行に関しては風を切れる皮ジャケットが必須かもしれぬ。 いまさらながらではあるが、全身を風に晒すクラシック系バイク乗りの方々が、必要に迫られて皮を羽織っていたことを知る。

 さらに、W800 streetのネガとして伝えられることが多いのが、空冷バーチカルツイン、360°クランクエンジンの振動である。 5速までシフトアップすると、3000rpm/80km/h程度までは顕著な振動も感じられないが、そこから4000rpm/110km/h程度まで加速して行くと振動の山が訪れる。 その山を越えてもそれなりの振動を感じるが、それ以上に5000rpm付近の最大トルクに向けた力強い加速感が味わえる。

 快適に走ろうと思うならば、3000~4000rpmのエンジン回転数で流れに乗りながら、遅い車列の前に出たい時に振動の山を越えて、5000rpm程度まで引っ張る感じなのかもしれぬ。 車間が詰まった状況でサクッと車線変更したい時など、よほどのことが無ければシフトダウンする必要も無いだろう。

 振動に関して色々と書いてみたが、正直なところ、バランサー無しの強烈な振動を知る昭和親父にとってはこんなもんかなぁという感じ(笑)。 存在感のあるエンジンの鼓動と振動は表裏一体、ポジと取るかネガと取るかは乗り手の趣味の領域かもしれぬ。 


 さて、伊勢湾岸道から東名阪自動車道、そして伊勢自動車道へと走り続け、お伊勢参りの行程も中ほどに差しかかったところで、伊勢自動車道安濃SAで休憩をとることにした。 そして、ヘリポート脇の二輪駐車スペースに移動すると、先客の還暦過ぎらしきバイク乗りの方々に混じって一息つく。 エンジンを跨ぎ風に晒されるオートバイが疲れるのは、相棒のW800 streetに限った事では無いようだ。 楽に移動したいなら四輪に乗ればよい、好きなバイクでストレスを楽しむなら休憩を取ればよい(笑)。

 

お伊勢参りの中間点、伊勢自動車道安濃SAで一息


 安濃SAから伊勢自動車道に復帰すると、道路沿いに立つ伊勢神宮までの距離表示をカウントダウンしながら走り続け、伊勢神宮最寄りの伊勢西インターにたどり着いた。

 神宮参拝は、約1500年の歴史を持つ豊受大神宮(外宮)から、約2000年の歴史を持つ皇大神宮(内宮)の順に参拝するのが作法。 内宮には神宮の中心で日本人の総氏神の天照大御神が祀られ、外宮には天照大御神の食事係で衣食住の守り神の豊受大御神が祀られている。

 伊勢自動車道伊勢西インターから県道32に降りると、その作法にのっとって最初に参拝する外宮方面に向けて走り出した。 そして参拝前に立ち寄ったのは、外宮の最寄り駅JR伊勢市駅近くにある名代伊勢うどん「山口屋」、伊勢神宮に参拝する折には欠かさず訪れる店である。

 江戸時代に盛んになったお伊勢参り、歩いての長旅でたどりついた参拝客に、いつでも出せる茹でおきの太いうどんをふるまったのが、伊勢うどんが広まったきっかけらしい。 手っ取り早く高速道路を鉄馬で一駆けしてきた親父ではあるが、作法にのっとりまずは伊勢うどんの接待をうけることにする(笑)

 九州福岡で育った親父の心に刻まれたうどんは、細く腰の無い麺、透き通った出汁、ごぼう天、かしわ握り...そのルーツは筑後川流域の二毛作で育てられた粘りが出ない小麦のようである。 故郷に限らず、うどんには土地々々の作物や食文化の影響がでていて面白いのだが、この店で初めて伊勢うどんに出会ったときには、あまりに個性的なうどんに度肝を抜かれた(笑)。


名代伊勢うどん山口屋、昔かみさんと訪れた懐かしい店


 伊勢うどんの「山口屋」は、40年程前に愛知に就職したばかりの頃、かみさんと初めて伊勢神宮に参拝した時に訪れた、昭和初期創業の老舗である。 再開発が進む伊勢市駅周辺だが、昭和初期に創業した山口屋は当時そのまま。 伊勢うどんの真っ黒なツユと、モチモチした極太麺、それを初めて見た九州人二人は、驚いて目を見合わせたことを思い出す。 

 新型コロナウイルスの感染対策がなされ店内で、壁際の一人席に落ちつき注文を済ませると、程なくお目当ての伊勢うどん600円也が配膳されてきた。 真っ白な極太うどんを真っ黒な出汁によ~く絡めると、香ばしいツユをまとった麺が黒く光り出す。

 そして、今はもう馴染みとなったモチモチした食感のうどんは、ここまでの道中で冷えた身体をやさしく腹の中から温めてくれる。 さらにコクのあるツユは、見かけに反して塩っぱ過ぎずに飲み干したくなるほどである。

 初めて訪れてから40年近くの時が流れ、九州親父の脳みそもこの食べ物を”うどん”として認識したようである(笑)。 多少は舌が肥えたのか、ようやく美味い店とそれなりの店の違いも分かるようになってきた。


モチモチした極太麺に真っ黒な出汁がからむ、伊勢うどんの王道


 伊勢うどんを食らいお伊勢参り気分を盛り上げると、いよいよ衣食住をはじめすべての産業の守り神、豊受大神宮(外宮)に参拝することにした。 JR伊勢市駅からもほど近い外宮を訪れると、北御門鳥居近くの二輪駐車場に案内され参拝の身支度を整えた。 毛筆の二輪駐車場看板もどこか厳かである。

 

衣食住の神様豊受大御神を祀る外宮、毛筆の駐輪場看板もどこか厳か


 早速手水舎で手を洗い簡単な禊をすませると、日除橋を渡り俗世間から神域に入った。 外宮の参道は左側通行、左手にある手水舎から神様が通る参道中央を横切らないための決まりごと。 同じ理由で内宮の参道は右側通行なのである。 その後、北御門鳥居の前で一礼し正宮に向けて歩を進めると、平成25(2013)年に式年遷宮を終えた古殿地(旧正宮跡)を過ぎて正宮への参拝を済ませた。

 ところで、1300年前から20年に一度正殿が造り替えられる式年遷宮、前回2014年に参拝した折にはまだ旧正殿が建っていた。 式年遷宮を終えた旧正殿の古材は、災害被害を受けた全国の神社や鳥居などに譲られるとのことで、現在は次回の式年遷宮を待つ古殿地だけになっている。  

 今回何気なく参拝したバイク親父であるが、前回の式年遷宮の節目を思い返すと、あれからもう10年もの時が流れたことに驚くこととなった。 振り返ってみると、我が身や家族に降りかかってきた人生の節目や乗り越えねばならぬ試練にとどまらず、人類の破滅にもつながりかねぬパンデミックや大きな戦争が起こるとなど想像もしていなかった。  

 しかし参拝を終えて、日本人が1300年ものあいだ神様の家を建て替え続けてきた事実を目の当たりにすると、ジタバタせずに、やるべきことをやっていれば、大切なものが受け継がれていくことが実証されている気がした。 世の中がどうのこうのと語る器では無いが、リーマン稼業を生業とする還暦親父の身の上にもそれは当てはまるだろう。


次の式年遷宮を待つ古殿地ごしに、豊受大神宮(外宮)の正宮を拝す


 豊受大神宮(外宮)の参拝を終えると県道32へと折り返し、伊勢自動車道伊勢西ICを通り過ぎて皇大神宮(内宮)にたどりついた。 そして、宇治橋鳥居前の二輪駐車場にW800 streetを停めて参拝の身支度を整えると、宇治橋を渡り俗界から神域への境界を越え、右側通行の参道を正宮に向けて歩き出した。



伊勢神宮内宮宇治橋前、W800 streetを停め右側通行の神域へ


 参道に敷かれた玉砂利を踏みしめる音を聞きながらゆっくりと歩を進めると、あわただしい日常と俗世間のしがらみや垢が落とされて行くような気がする。 手水舎近くからは五十鈴川の河原に降りることができるので、その御手洗場で禊をすませることもできる。

 そして神楽殿を過ぎると樹齢数百年の神宮の森はさらに深くなり、天照大御神をまつる正宮への階段をゆっくりとのぼって参拝を済ませた。

 笑われるかもしれぬが、初めて神宮に参拝して正殿に掛けられた白い御幌(みとばり)を見た時に、子供の頃見ていた不思議で怖い夢を思い出した。 小川に面した祠に翻る白い布、その中には...以下省略(笑)。 大人になってからは、もっとリアルな怖い夢を見るようになって、そんな夢のことなど忘れてしまっていたのだが、俗世が染みついた大人も純粋だった頃にに戻れる場所なのかもしれない。 


日本人の総氏神天照大神を祀る皇大神宮(内宮)正宮 


 正宮への参拝を済ませると、宇治橋を渡って神域から俗世間へと舞い戻り、駐輪場に待つW800 streetの出迎えを受ける。 神宮に参拝して一時だけでも謙虚になれたのか、へたれな親父の無理な要求をきいて、懸命に走ってくれる相棒にありがとうとつぶやく(笑)。

 そして、走り出す身支度を整えながら脇に目をやると、宇治橋前から五十鈴川に沿って続く「おはらい町」の賑わいが目に留まった。 「おはらい町」の中ほどには赤福が運営する「おかげ横丁」もあり、その賑わいが内宮参拝を増やす手助けになっているのかもしれぬ。 おはらい町やおかげ横丁の道沿いでは、多くの伊勢名物の土産物屋や郷土料理屋が商っており、時間があれば立ち寄りたいところである。

 今回は、W800 streetと伊勢志摩スカイラインやパールロードのワインディングを駆ける煩悩が勝り、おはらい町やおかげ横丁の美味いものは、またの機会にいただくことにした。 できれば、吞めぬオートバイよりも鉄道で訪れた方が楽しめるかもしれぬ。


宇治橋から五十鈴川に沿って続く「おはらい町」、中ほどでは「おかげ横丁」が賑わう

 

 皇大神宮(内宮)宇治橋前から国道23に折り返すと、県道32をわずかに繋ぎ「伊勢志摩e-Powe Road」の料金所へと駆け上がった。 なんとも聞きなれぬ有料観光道路だが、旧「伊勢志摩スカイライン」の命名権を買い取った日産が、昨年11月から新しく運用しだした道路名である。

 正直なところ、何とも収まりの悪い道路名だが、伊勢神宮内宮近くから朝熊山を経て鳥羽市内へ駆け降りる、全長16.3kmのワインディングは健在である。 自動二輪の通行料金は900円と多少値が張るが、それと引き替えに通行車両が少なく、良好な路面コンディションも維持されていると納得する。 ホームページでは、割引クーポンが提供されているようなので、事前確認して訪れることをお薦めする。

 さて、通行料金を支払って旧伊勢志摩スカイラインに駆け上がると、早速W800 streetが得意な中低速コーナーが始まり、これまで試してきた新しい相棒とのライディングの総仕上げの様を呈してきた。


伊勢志摩e-Power Road(伊勢志摩スカイライン)を朝熊山頂へと駆け上がる


 朝熊山頂展望台までは上りとなり、道路沿いからは遠く四日市、津、松坂、そして足元の伊勢まで続く伊勢湾岸沿いの景色が広がる。 朝熊山頂展望台からは鳥羽に向けての下りとなり、伊勢志摩のリアス式海岸の先に広がる太平洋の眺望が覗き始める。

 前後の荷重変化を抑えながら、逆ステアで倒しこみのきっかけを作り、中低速のトラクションを活かし旋回速度を上げてゆく。 存在感のあるバーチカルツインエンジンの鼓動と、キャプトンマフラーの乾いた排気音、久しぶりに身の丈に応じた操る楽しさを満喫する還暦親父である。 調子に乗った親父は、真新しいステップのバンクセンサーを削りまくる(笑)

 リヤタイヤのエッジにはまだ余裕があり、それを使い切る前にステップが接地するのは、前期型W800のリム幅F/R=2.15/2.75が、W800 streetのリム幅F/R= 2.5/3.0に太くなったせいかもしれぬ。 このスタイルにバックステップってのはあり得ないが、もう少しだけタイヤを使えるように工夫したいところである。


伊勢志摩地方の最高峰朝熊山頂展望台からは360°の眺望


 伊勢志摩e-Power Road(どうにも言いにくいなぁ、伊勢志摩スカイラインにもどしてくれないかなぁ)を鳥羽市街まで下りきると、突き当たった国道42を鳥羽水族館方面へと走り出した。 鳥羽水族館の手前で近鉄志摩線の高架をくぐると、近鉄鳥羽駅の裏手に伊勢志摩の新鮮な海産物を供する店が軒を連ねている。

 そして今回訪れたのは、リーズナブルな価格で伊勢志摩の海鮮を供する海女小屋「鳥羽はまなみ」、50年にわたり鳥羽で商いをつづける気取らぬ店。 入り口に立てられてた満席の立て札に席待ちを覚悟するが、昼のピークを過ぎていたこともあり、直ぐに案内されることとなった。 


鳥羽で半世紀続く気取らぬ店、海女小屋「鳥羽はまなみ」


 老若男女のスタッフが忙しく切り盛りする店内、決してお洒落とは言い難い店内だが、貝焼き膳1,900円也を注文してしばらくすると、香ばしい焼き貝の香りが立ち込めてきた。

 程なく配膳された貝焼き膳は、貝焼き五種盛り、うに飯、小鉢、そして磯の香りが立つ岩のりの味噌汁...海の旨味が凝縮されたような焼き貝に甘く香ばしい焼きうに、この価格でこの満足感はやはりここまで来なければ味わえないかもしれない。


貝焼き膳の香ばしい磯の香、凝縮された貝の旨味を一網打尽にする


 鳥羽はまなみで香ばしい貝焼をいただいた後、磯の香りを身にまといながら再び国道42を志摩方面に走り出した。 鳥羽市街を過ぎると国道167から県道750へと走り続け、赤い鉄骨が印象的な麻生の浦大橋を渡る。

 いよいよここから、鳥羽から志摩へとリアス式海岸の複雑な地形をトレースするパールロードこと県道128の始まり。 海岸沿いから高台まで徐々に駆け上がると、複雑な海岸線沿ごしに太平洋の眺望が広がり、バリエーションに富んだコーナーが連続する。 バーチカルツインエンジンの鼓動を感じながら、進入速度やアクセルコントロールに夢中に...なり過ぎて、道中の写真撮影もバッサリと忘れる(泣)。 まるで、W800 streetの楽しむための専用コースとも言える相性の良さなのである。

 過去を振り返ってみると、ハイスペックなタイヤ、エンジン、ブレーキで限界を探る、SSのライディングでは得られなかった楽しさである...っと、さりげなくオートバイのせいにしているが、己の技量も顧みず愛車の性能を引き出さねば気が済まぬ、乗り手の性分のせいであることは間違いない。

 できればパールロードの雰囲気を写真で伝えたかったのだが、我に返って一息ついた鳥羽展望台から撮影した景色を、申し訳程度に掲載させていただくことになってしまった。


パールロード鳥羽展望台で一息、リアス式海岸の先に広がる太平洋


 パールロードを志摩スペイン村付近まで走ってくると、このまま志摩半島先端まで走り続けたい衝動を抑えながら帰還ルートを思案する。

 そして、志摩スペイン村の手前で県道16に分岐すると、的矢湾から内陸へと入り組んだ伊雑ノ浦の北岸をトレースすることにした。 道なりに県道16走れば、近鉄志摩線の志摩磯部駅の脇をぬけて、走り継いだ県道32で皇大神宮(内宮)へと折り返せるはずである。


志摩スペイン村手前でパールロードを離脱し県道16で帰路に着く



県道16は伊雑ノ浦北岸をトレースし、近鉄志摩線磯部駅脇へ抜ける


 県道32に折り返して北上すると、逢坂峠で志摩市から伊勢市への市境を越えて皇大神宮(内宮)へと下って行く。 さらに県道32を伊勢市街へと走り続け、伊勢自動車道伊勢西インターから名古屋方面へと帰路に着くこととなった。


県道32で志摩から伊勢へ、逢坂峠を越えて皇大神宮(内宮)へ折り返す


 さて、名古屋から、伊勢湾岸道、東名阪自動車道、そして伊勢自動車道を折り返し、伊勢神宮に参拝して伊勢志摩のワインディングを巡る往復約350kmの旅、何ともてんこ盛りの旅を無事に走り終えることができた。

 W800 streetの高速道路での快適性に関しては、なるほど、風の影響やら振動やら世間の前評判通りの結果であった。 がっ、高速道路を利用したから実現できた日帰りツーリングの充実感を考えると、乗り手のライディング装備や乗り方を工夫しながら、今後も高速道路を積極的に使って旅の範囲を広げて行きたいところである。

 実際のところ今回も走り終えて見ると、還暦親父の疲労感は、帰路の伊勢自動車道のサービスエリアで土産に購入した、赤福餅のカロリーと相殺できる程度であった(笑)。 

伊勢自動車道に折り返した帰路、家族への土産に赤福餅を仕入れる



ツーリング情報



皇大神宮(内宮)  三重県伊勢市宇治館町1


豊受大神宮(外宮)  三重県伊勢市豊川町279


名代伊勢うどん 山口屋  三重県伊勢市宮後1-1-18 (電話)0596-28-3856


海女小屋 鳥羽はまなみ  三重県鳥羽市鳥羽1-6-18 (電話)0599-26-5396


伊勢志摩スカイライン(e-Power Road)


パールロード(伊勢志摩観光ナビ)



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